エイプリルフール
エイプリルフール2017—1話:私の苦労話
嘘を吐くのは簡単で、人を騙すのも簡単―――特に男は。
いつも心の中で唱えている
「
「んー、秘密」
「もったいぶるなよぉー!」
「教えろー!」
「教えませーん」
「んー!ケチー!」
休み時間、私はくだらない友達と、くだらない会話をしていた。
2年生が終わり、もうすぐ3年生になる。
今年はそこそこ楽しい1年だった。1年生の時にスクールカーストにおける圧倒的地位を目指し、奮闘していた甲斐があった。2年生になってクラス替えをしても私を知っている人が多かったのだ。私についての噂は聞いていたようで、私の地位は動ぬものだった。
特に男子の影響は大きい。私は"清純派"として行動をしていたので、男子からの人気は絶大で、その手の誘いも多かった。———もちろん、すべて丁重にお断りをした。
ところで、"清純派"というのは実素晴らしいと思う。例えば、タレント。どこの年代においても"清純派タレント"というのは一定の人気がある。それは世界の狭い学校でも同じことで、"清純派"はとても強い武器になった。
しかし、これは男の場合だ。女にとっては"清純派"はとても敵を作りやすい。
仮にA子ちゃんという女子をつくろう。
「A子ちゃん、実はエンコーしてるらしいよ」
と噂が立てば、その瞬間、彼女の地位は落とされる。「あんなに清楚な子が!?」、「あのA子がそんなことするはずない!」と否定の声も上がるだろう。しかしそれはA子のクラスでしか通用しないだろう。A子を知らないクラスにとってA子は"どうでもいい子"であるから噂の真実なんてどうでもいい。会話の話題が欲しいだけなのだ。
さて、このような噂を作るのは誰か。
もちろん敵だ。
私が地位を獲得するのに苦労したのは"いかに敵を作らないか"だ。それと、"知名度"。
どう頑張っても敵は生まれてしまうものだ。それでも敵は最小限に留める。そして、噂話が出てしまった時には"知名度"で食い止める。私がどのような人間なのかをなるべく多くの人に知ってもらうことで、そんなことする人じゃないということを知らしめるのだ。
結果、私はスクールカーストでの地位を確立させた。
しかし、3年生になろうとしている今、ある重大なことに気付く。
———男がいない。
思い返せば、地位の獲得をしていたために、いい男を探す余裕がなかったのだ。お誘いは何度もあったのだから受ければよかったのにと思うだろうが、私は知らない男の誘いに引っ掛かる安い女じゃない。もし、相手の男が体目当ての野郎だったらどうするのか。男を選び間違えた馬鹿な女と見られてイメージダウンしてしまう。だから念入りチェックをしたいのだ。
あ、言い忘れていたが、私は"清純"ではない。
つまり、嘘だ。
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