魔学部魔法生物学科のオーク教授

とくがわ

レジュメ いかにして『女騎士』は『オーク』の講義を受けることになったか


 好奇心はネコをも殺す、という古代のことわざがある。自分がこの分野に進もうと思ったのも、そのこれまでもたくさんのネコを殺戮してきたそいつのせいである。


 子供の頃から文武両道を目指せと、女だてらに剣の修行をさせられ続けつつ、学業もしっかり修めさせられた結果、女らしくないだの何だの言われるようになってしまった。女らしくないだの何だの言われるのことは、全く気にしていないかというとウソになる。隣国とのゴタゴタも、幸いにして何事もなく片づき、晴れて騎士としての役目も終わった。さて、こうして暇になってしまっていざ自分のやりたいことをするとなった。それはなんだろうなぁと考えたとき、そうだ、学院行こう、と思った。


 別に学院に行ったからといって、そこに出会いがあると思ってもいないし、そもそも学院と言うのは学業を修めるところであると言うことぐらいは自分にもわかっている。そう、自分は要するに、純粋に興味本位ではあるが、学問を修めたいのである。せっかくだから、ここまで学を与えてくれた両親のためにも、これからの身の振り方を考える上でも一度自分を見つめ直す時間が必要なのではないか。そういう意味で学院という所は、目的に実に合っている。学院で何を学ぶか、自分の興味のある分野…いわゆる魔法生物(人によってはモンスター等と呼称するものもいる)の研究を行うのも悪くないのではないだろうか。


 そこで自分は、このホウライ学院の門を叩くことになったのである。そして…まさかあのような出会いがあるとは、この時の自分は、全く全然少しもこれっぽっちも想像していなかった。魔法生物学の研究がしたかったので、配属先に魔法生物学科を選んだのはなんら変なことではないだろう。だが、第5研究室をえらぶ意味も、自分がアダ名だと思っていたオーク教授と呼ばれている教授の存在についても、十分に考えてはいなかったのである。

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