いつもと変わらない朝。

私はいつものように鏡の前で身支度を整える。

「誕生日おめでとう。」

私の後ろで、少し眠そうなあなたの声。

ん？おはよう、じゃなくて？

今日は私の誕生日じゃない。

あなたの誕生日でもない。

鏡越しに目が合うと、あなたは笑う。

「今日はなんの日？」

あなたからそんなこと言うなんて珍しい。

わかってるよ。

1月27日。

今日はあなたと私の結婚記念日。

14年前の今日、婚姻届を出して私たちは夫婦になった。

その前日は結婚式と披露宴、二次会に三次会。

たくさんの人に祝福してもらった。

14年なんてあっという間だったなぁ…。

あなたの隣でウエディングドレスを着た日が、ついこの間の事のように感じる。

気持ちだけはまだまだ若いんだけどな。

鏡にうつる、あの頃よりも少し老けた私たちの姿に、小さく苦笑い。

確かに歳は取ったけど、二人で積み重ねてきた時間の分だけ、あの頃よりも今が幸せだと思える。

他愛もない会話をして、一緒に食卓を囲んで、特別な事はない穏やかな日常も、ちっとも退屈じゃない。

平凡で穏やかな毎日を幸せな気持ちで過ごさせてくれるあなたに感謝。

1月27日。

今日はあなたと私が夫婦になった記念日。

あなたと私という“夫婦”が生まれた日。

この先もずっと、毎年この日が来るたびに、あなたと一緒になれて本当に良かったと思うんだろうな。

「お誕生日おめでとう。」

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい