第4話 人体実験
家に着くと何人かの使用人が出迎えていた。
「おかえりなさいませ桜様、紗聖様はここで...」
その場で紗聖とは別れさせられ桜は人体の実験をしている部屋まで案内された。
実験室には珍しく父、月影咎までいた、父は滅多な事では顔を出さない。
今回は相当な何かを得られる予想なのだろう。
目の前には、人体実験用の試験管を大きくしたような部屋がある。
頑丈な鍵がついている、結果が出るまで出れない、ということを、桜は静かに悟った。
「桜、その部屋に入れ」
父が念押ししてくる。
「お父様は私に何をさせる気なのですか?」
「お前は知らなくてよい、時間を無駄にさせるな、お前達もだ」
使用人が桜の首に首輪のような物を巻いて説明を始める。
「では、桜様、こちらに座って安静にお願いします」
使用人は桜に取り付けた首輪のような物にチューブを取り付け、腕、足にも同じ物が巻かれた。
チューブを取り付けられた時に刺すような痛みを感じた、注射針だろうか。
使用人が私を椅子に座らせ部屋から出ると、鍵のかかる音が聞こえた。
強化ガラスの前に白衣を着た男が父と話している、男は手前にあったスイッチを全て押し、私を見ている。
特に変わったことが起きた様子がない、ミスでもしたのかと、思っているのも束の間、激しい激痛が襲いかかってきたのだ。
「う...ぐっ!」
首、腕、足に巻かれているチューブに色のついた液体が流し込まれている。
えもいえぬ不快感と、凄まじい激痛が全身を突き抜ける。
何も考えられない、考える時間が欲しい、今、ここで何をされているのか。
桜の父、咎は呻き声を上げる桜をじっくりと見ている。
「ふむ...桜が声を上げる程の痛みを感じたという事は、適応したという事か、こいつを、適応した桜を制御出来ればこの日本を、いや世界を我が物に出来る...慎重にやれ、失敗は許されない。」
「はい、咎様」
そう言い残すと咎は実験室から出て行った。
桜は激痛でもうろうとしていた。
目が霞む、視界が狭まる。
それを悟ったかのように、白衣を着た男がスイッチを切った。
少しずつ激痛が和らいでいく。
「桜様、大丈夫ですか?」
大丈夫なはずが無い、言葉をだそうにも、体は愚か口も満足に動かせない。
それを見かねたのか、白衣を着た男がさっきとは違うスイッチを押した。
ビリッっという音と共に、体を突き刺すような刺激に全身が支配された。
「どうです、意識ははっきりしましたか」
「...」
「良かったです、では違う薬を投与します、安静にお願いしますよ。」
違う薬、嫌だ、もう考えたくない。
目の前にあるチューブから、さっきとは違う色をした液体が向かってくる。
「あ...あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
さっきとは比べられ無い程の痛みが全身を襲う。
耐えられるはずもなく、私は意識を手放した。
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