ポークチャップ

 ポークチャップとは分厚い豚肉にケチャップをぶっかけただけの料理である。

 昔はボクもそう思っていました。

 だけど実際のポークチャップはそんなものじゃない。全然違う。こんな聞いただけで雑だとわかるような料理じゃなかった。そんな話です。


 ある日ボクはモンをポケするGOなゲームのイベントのため、町をさまよっていた。

 そして夕飯をどうしようかと彷徨い、スーパーに入る。

 弁当とかでいいやとか思いつつも、調味料の棚を眺めていたらやつがいた。そう、ポークチャップ用ケチャップである。

 ポークチャップ用ってなんだよとか思いつつラベルを見ると、砂川市公認みたいなことが書いてあった。

 ポークチャップといえば十勝やもっと西の方、釧路のほうが有名だ。砂川市なんてハイウェイオアシスくらいしか普通の人は知らない。札幌と旭川の間にあり、丁度いいタイミングで休憩できるサービスエリア隣接施設だ。


 でもポークチャップ用のケチャップなんて面白いから、話のネタついでに今度これでポークチャップでも作ろうかなと思いつつ購入。



 それから数週間が過ぎ、そろそろポークチャップでも作ろうかなと肉屋を探す。

 豚肉なんて肉屋じゃなくても売っていると思われるだろうが、ボクがネットで見つけた砂川のポークチャップは常識を逸していた。

 なんなら試しに『砂川 ポークチャップ』で画像検索してみるといい。600グラムというバケモノな肉の塊がドーンとエアーズロックのようにそそり立っているではないか。

 家族で食べるとはいえ、さすがに600は無理だと、ボクは500グラムのロースのブロックを買うため肉屋を探した。


 だけど最近は肉屋がかなり減ってきているようで、ボクはデパートの地下へ行きロースのブロックを購入。


 肉は焼く少し前に冷蔵庫から出して肉の温度を上げるのは常識。だがこれだけ分厚いとどれだけの時間がかかるかわからない。とりあえず2時間くらいかけてみた。

 ネットで厚い肉の焼き方を調べると、まず高温で表面を焼いたほうがいいという人と低温でじっくり焼いたほうがいいという人がいて、どちらもプロの料理人だという。

 結局どっちだよと思いつつ色々なものを自分なりにアレンジしてみることにした。


 まずは強火で表面を焼く、焼く面は6つだからそれぞれ1分で6分だ。それから弱火にしつつバターを投入。バターは焦がさないよう、そして肉の焼いていない面に熱を伝えるため、匙で掬っては肉の上にかけ、掬っては肉の上にかけを繰り返す。かなり面倒な作業だ。

 それでも本格ポークチャップを食べるためだ。がんばって繰り返す。

 オーブンという手もあるのだが、ボクは料理の手間も楽しむタイプだからこれもまたよし。きっとおいしく焼けるだろう。


 上と下を10分ずつ焼いたところで捨てケチャップを投入し、フライパンに蓋をする。何故捨てなのかというと、焦げるから後で捨てるんだ。

 ローストビーフを焼くときに入れるクズ野菜みたいなイメージだ。あれは肉が乾燥しないよう水分を補うために入れる。ケチャップにしたのは味が染み込むかなというのが狙い。


 それから暫くしてから蓋を開けると予想通りケチャップは焦げていた。これをキッチンペーパーで集め捨てる。バターは油だからケチャップの上にあり焦げずに残ってる。

 ここで肉を切ってみる。もう少し焼いたほうがいいかもなくらいが理想。豚肉は熱が通り過ぎると固くなるからこれで引き上げる。あとは予熱がなんとかしてくれる。


 そして再びフライパンにポークチャップ用ケチャップを投入。これは温めるためだけだからさっと火を通してすぐ上げる。そして豚肉の上にかける。

 準備終了。500グラムもひとりで食べれないから家族と分ける。


 感想としては、ポークチャップ用ケチャップ凄いということだ。

 普通のケチャップのように酸っぱしょっぱくなく、どちらかと言えばフルーティーな印象。甘みがあり煮詰めても濃くならないくらいのあっさりさがある。

 そして旨い。ポークチャップ用を謳っているだけはあり、豚肉との相性も最高。これならほっぺたに毛のない電気ねずみのようにちゅーちゅー吸える。


 ポークチャップが気になっていたけどケチャップをぶっかけるのはどうかと思っていたのなら一度試して欲しい。損はないはず。


 ちなみに薄切りの豚肉でも全然いけた。素晴らしい。

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