第239話 ミュージカル、始動! その1


「パパぁ!」


「レミィ、ただいま~」


 俺は一通りの仕事を済ませると、娘が出迎えてくれた。

 超絶可愛いこの娘は、リリルとの間に出来たレミィ!

 髪色は赤色なのだが、それ以外はリリルを小さくしたバージョンって感じでとってもかわいい!

 レイとの間に生まれた息子のランスとほぼ同時期に生まれたので、二歳なんだ。

 とても甘えん坊でパパっ子なので、本気で可愛い!


「パパ、お仕事おつかれさまぁ!」


「ははっ、ありがとう! レミィのおかげで疲れがぶっとんだよ!」


「あはは、高い高い!」


 俺はレミィを抱きかかえて高い高いをすると、破顔して喜んでくれる。

 あぁ、疲れが一瞬でぶっ飛ぶよ!


「父ちゃん、仕事お疲れ!」


「おおランス! ありがとうな!」


「疲れてそうだけど、また剣術の修行してほしいぞ!」


「おう、喜んで相手になってやるよ!」


 レイとの間に生まれたランスは剣術が大好きで、すでに二刀流にチャレンジしている。

 俺の剣術に大分憧れているようで、自分なりに二刀流を極めようとしているらしい。

 元気いっぱいで大変よろしくて可愛い!

 ランスの頭を思いっきり撫でまわすと「やめろよぉ」と言いながらも笑っている。

 いやぁ、本当可愛い!


「「ちちうえ、おしごとおつかれさまです」」


 そして、アーリアとの間に生まれた一歳の双子。

 二卵性双生児で、女の子のアリスと男の子のアドルはアーリアの容姿を全部引き継いでいる感じで、銀髪でまるでお人形のように可愛い!

 唯一俺の部分を引き継いだとするなら、二人の目はアーリアの《虹色の魔眼》ではなく俺の碧眼の部分だ。

 でも俺の目よりも綺麗で、まるでサファイアの宝石のようだった。

 常に二人で手を繋ぎながら行動していて、息もぴったりだ。

 あんまり表情を出さなくて感情表現が乏しいんだけど、その代わり嬉しかったら抱き着いたりしてくるという感じで、行動で感情表現をしてくれる。

 アリスとアドルは俺の足にぎゅっと抱き着いてくれて、俺が来た事を喜んでくれているようだ。

 むふふ、可愛すぎる!


「アドル、アリス! 今日も滅茶苦茶可愛いなぁ!!」


「「……」」


 頭を撫でてやると、二人とも足に抱き着く力がちょっと強くなった。

 うん、どうやら喜んでくれているようだな。

 今俺の三人の奥さんは、それぞれの仕事をしていて不在だ。

 レイは音楽活動で多忙な俺の代わりに、領主代行として領地視察に出掛けている。

 リリルは今自身が運営している治療院の院長をしていて、新人の教育実習を自ら行っている。

 そしてアーリアは、俺の為に新しい楽器を製作中だ。

 

 では子供たちの面倒は誰が見ているかというと、俺の屋敷で雇っているメイドと――


「おおっ、ハル殿。ご苦労だったな」


「親父、いつも息子達を面倒見てくれてありがとうな!」


 アーリアの実父で前国王の親父ことドールマンだった。

 親父は王太子である兄貴に正式に王位を譲った後隠居し、俺の領地であるウェンブリーにやってきた。

 可愛い可愛い孫たちと遊び、そして生まれてから王族だった為に青春という青春を過ごした経験が一切なかった親父は、四十代後半になってようやく人並みの生活というのを満喫していた。

 住んでいる場所も俺の屋敷じゃなくて、街にある普通の一軒家。

 メイドも一切付けずに全て自分で家事をしていて、毎日大変だが楽しそうに過ごしていた。

 趣味も読書以外に沢山出来たようで、最近はリューンを覚える為に俺の専門学校で基礎を学んでいる最中だ。

 それにどうやらとある二十代の女性といい感じになっているらしく、もしかしたら再婚するかもしれないと、俺の諜報部隊である《黒狼こくろう》から報告がはいっている。

 まぁ親父はナイスミドルだし、雰囲気もそんじょそこらの中年とは圧倒的に違う存在感がある。そりゃモテるわな。


「ハル、仕事お疲れ!」


「本当、あのハルがちゃんと仕事してるなんて、色々心配だったのよねぇ」


「父さんに母さん、俺だってちゃんと仕事してるよ」


 そして実父と実母である父さんと母さん。

 現在両親は妹のナリアと共にウェンブリーの街に引っ越してきた。

 色々話し合った結果、両親と妹はうちの屋敷に住む事になった。

 でも、ただ俺に養われるのは気に入らないらしく、父さんは俺の私兵達を鍛えてくれる教官になってくれているし、母さんは俺の子供の面倒を見ながらメイドと混じって家事の手伝いをしてくれている。

 それに広い庭の一部に家庭菜園を作り、両親はそこで育てたい食物の世話をしていたりする。

 二人とも歳なんだから、ゆっくりしてほしいとは思うんだよねぇ……。

 こうして俺は、仕事の休憩中は家族と極力触れ合うようにしている。

 

 子供たちとじゃれたり、両親たちと談笑していると扉がノックされた。


「旦那様、ご歓談中失礼致します」


「おう、入ってくれ!」


「失礼致します。旦那様、トール様がご到着されました」


「了解! ってか、あいつ予定より三十分も早いぞ」


 くそっ、家族との触れ合いは予定より早く切り上げないといけなくなっちゃったじゃないか。

 まぁこれも大事な仕事の一つだし、しゃーないか。

 俺は体を伸ばした後に、重い足取りで応接室に向かう。

 子供たちが満面の笑みで俺を見送ってくれる。

 うう、パパは行きたくないよぉ。


 ふぅ、さて気持ちを切り替えよう!

 これも俺の野望の一つだ!

 頑張って形にしないとな!


「よっしゃ、気合入れるぞぉ!!」


 俺は今、気合い十分だ!












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 お久しぶりです!

 再び執筆活動に力を入れてみようと思い、筆を取ってみました。

 今までちょっと温めていた小説も執筆開始してみたので、そちらも是非読んでみてください。


〇全てを諦めていた僕は、君と出会って再び夢を追い始める

https://kakuyomu.jp/works/16816927862075896363


 恋愛というジャンルでやってるんですけど、かなりシリアス方向だし恋愛要素がちょっと薄い気がします。

 しばらくは主人公に辛い状況が続きますけど、前向きになる為に必要なステップなので是非読んでくれると嬉しいです!

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