第179話 祝・童貞卒業♡
ドアが開いた音がした。
俺は振り返った。するとそこには――
「……遅れちゃってごめんね、ハル君」
頬を桜色にほんのり染めたリリルがいた。
「――リリル」
「最初は、その、部屋で待ってた、んだけど、緊張、したらその、お花を摘みたくなって……」
下を向いたまま、彼女はもじもじしている。
だけど俺はそんな事を気にしている余裕がなかった。
原因は、リリルの格好だ!
恐らく狙ってるんだろうけど、白いネグリジェという格好なんだぜ!?
腹部はわざと透けさせているし、胸元は大胆に開いていて谷間がよーーーーーーーく見える!
一言で言うと、エッロ!
もう一度言わせてもらう、エッロ!!
「えっと、ハル……君?」
「…………」
「その、ずっと胸、見られるの、恥ずかしい、よ」
――はっ!?
やべぇ、リリルの胸を凝視してて、意識が飛んでたわ。
俺は我に返って、リリルを見据えた。
「わりっ、あまりにも魅力的でさ」
「……」
リリルが手で胸を隠す。
前世を含めても、こんな経験は初めてだ。何をどうしていいか全くわからず、俺は必死に思考を巡らせてこの次をどうしようか考える。
そのせいで、お互い何も喋らない無言の空間が生まれてしまう。
俺の心臓音が聞こえる。
今にも破裂するんじゃないかと思う位鼓動が速くなっていて、それが煩くも感じる。
リリルは胸を隠したまま、下を向いたまま黙っている。
どうすればいい、どうすればいいんだ?
くそっ、何かいい案は思い浮かばないのか!
『無言でもいい、抱き締めちまえ!!』
脳内に、前世で言われた台詞が蘇ってきた。
俺の親友であった《冴島 達弥》が、童貞を捨てるアドバイスとして、そういった場面になった時の対処法を教えてくれてたんだ。
抱き締めれば、自ずとその後勝手に行動するとは奴の言葉で、達弥もそうやって童貞を無事に卒業したのだそうだ。
あいつ、無駄に人気があったから、どうせイケメンが成せる技だろうと思って聞き流したけど、今の俺はこの世界ではイケメンの部類だ。
だからもしかしたらイケるかもしれない。
俺はリリルに近付いて、そして抱き締めた。
リリルの腰に手を回し、自分に抱き寄せたんだ。
「は、ハル君!?」
「……」
何も言えない。
ただ身体に伝わるリリルの熱、リリルの柔らかい体、鼻腔をくすぐるリリルの髪の香り。
それを受け止めるだけで精一杯だった。
でもリリルを欲しい。
繋がって、名実共に俺の女としたい。
そんな劣情が込み上がってくるのがよくわかった。
「ハル、君」
「……ん?」
「私ね、正直言って、ちょっと、怖いんだ」
「……うん」
そりゃそうだ。
女の子にとっては相当覚悟がいる事を、今から俺とするんだ。
怖くなっても仕方ないと思う。
「でもね、何かハル君が抱き締めてくれて、私も欲が出てきちゃった」
「欲?」
「うん。私をね――」
リリルが俺の腰に手を回し、ぎゅっと力一杯抱き締めてきた
「私を、ハル君の物にして欲しいの。ううん、ハル君を欲しい!」
「リリル……!」
「……は、恥ずかしい」
「でも、嬉しいよ。俺もリリルが欲しい。俺の物になってくれ」
「うん。ハル君」
「……リリル」
そして俺達はしばらく互いの顔を見つめ合い、俺達はベッドで一緒に寝て肌を重ねた。
「おはよう、ハル君」
澄んだ声が俺の隣から聞こえてきた。
見てみたら、俺の腕を枕代わりにして寝ながら、天使のような微笑みを浮かべているリリルがいた。
そうだ、俺は昨日リリルとしたんだった。
寝惚けている頭が覚醒してきて、昨日の情事が鮮明に思い出される。
「おはよう、リリル」
「えへへ、何かちょっと恥ずかしいね」
「何を今更。あんなに一緒に盛り上がったのにさ」
「っ!! 恥ずかしいから止めて!」
「はは、ごめんごめん」
「うぅぅぅ、ハル君のいじわる」
そう言いながら、リリルは俺の胸に顔を埋めた。
あぁ、普段からも彼女を心から愛していたけど、抱いた後になってさらに愛しさが増したよ。
「リリル、痛くない?」
「えっと、ちょっとだけ痛いかな」
「うっ、すまない」
リリルは初めてだったのに、俺自身が暴走して三回も致してしまった。
それでもしっかり受け止めてくれたリリルは、母性の塊だと思う。
「ううん、何かね、求められるのが、すっごく嬉しかったの」
「そっか」
「うん。まだ痛がるかもしれないけど、それでも愛想付かさないで?」
「それ位で愛想付く訳ねぇよ」
「よかった、安心した」
リリルがぎゅっと抱き付いてくる。
あぁ、可愛いなぁ、本当に。
俺は彼女の頭を優しく撫でた。
リリルがくすぐったそうに身を捩らせる。
その時に彼女の胸が露になってしまい、俺が欲情してしまう。
俺の表情でそれを悟ったのか、「いいよ」と小さく囁いてきた。
当然、俺はリリルを美味しく頂きましたとさ。
朝っぱらから盛ってて、俺もまだまだ若いなと思った。
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