海が空で星は地下

古吉春雨

第1話 沈黙の日々

 冷たい風が吹き付ける歩道橋の上で,僕は泣いていた.


 泣いている僕を気にとめることなく人々が通りすぎていく.


いつだっただろうか.僕が初めてこのとこに気づいたのは.また同じことを繰り返してしまった.また,この世界から旅立たなくてはならないのだろう.

 僕の生きてきた時代,場所.それらはもう思い出せないくらいおぼろげで.夢の世界と変わらない.でも僕は確かにここに生きていたはずなんだ.


 泣き止んだら,僕はここの世界にはいないのだろう.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る