カッターナイフ

「あー……ヤバッ……鼻詰まる……死ねる……」

春になると桜がーとかなんだー、とかあるが俺にとっては花粉症滅べとしか思えない時期だ。

自転車の籠の中でコンビニの袋がガサガサ言ってるのをイヤホン越しで聞きながら帰りたくない家に向かう。













「ただいま……」

時刻は18:20玄関を開けるて俺は小さくそう呟く。

脱いで2階の自室に入り荷物を放り投げる。

「だる……死ぬ……飯……いや風呂か……?」

どれが蹴られる可能性が1番低いか考えながら布団にダイブする。

いつも思う。もしこれが布団じゃなくて深く真っ暗で、なにも見えずなにも聴こえない沼だったら良いのにと。

「風呂にしよ……」

睡魔に引き寄せられながらめんどくさい方を選択する。

コンビニの袋から新しく買ったカッターナイフを取り出しポケットに突っ込む。

「優月あんたとっとと風呂入り!ご飯は自分でやりよ!」

「はいはい……」

いつも通りの親との会話、嫌気がして風呂場に入り制服を乱雑に脱ぐ。

どうせまたグチグチ言われるんだろうな、と感じながら部屋に持ってくやつは纏めておいて俺は風呂に入る。











〜〜♪

俺はゲーム実況動画観ながら風呂に浸かりカッターナイフの刃を出す。

カチカチと言う刃が出る音が耳に心地よく聴こえる。

「あー……刃が錆びないカッター欲しい……」

俺はそう呟きながら手首を切る。

どうせ誰も気付かない。気付いても話しかけてこない。そんなことを思いながら3回4回と手首を切る。赤く、鉄臭い血が手首から少しづつ流れていく。

「このまま簡単に死ねたらいいのに……どうせ……」



俺は口に出さずに続きを呟く。









どうせ生きてても死んでても何も変わらないんだから。






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