紅葉

秋の月の光


神社の境内に宿る紅葉


月に照らされるのは僕の持っているお団子


煌めく夜空の中に騒がしく葉の揺れる音


美しい女が僕の隣を歩く


浴衣姿で僕のことを見ていた


夏の思い出


境内に二人で上った


石畳の上を


釣銭を寺に撒くために


それだけのために


輝く過去を追っていた


提灯の光


揺れる火


暗く青い空


夕立が明けた時


夏の蒸し暑さと融合するのは


小さな懐かしさと


大気の心地よさだ


また遠くへ


離れていく


女の影は


月の光の中に


秋の寂しさの中に


夜の街の中に


消えてゆく




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