夢かうつつか
あるるん
第1話 下川さん
「ああ・・・田中さん?亡くなったんでしたよね。まだ死因って僕まだ聞いていないのですけれどもなんだったのでしょうか?わからない?そうか・・・わからないのか・・・」
下川は両手の甲をかさねるようにして落ちついた話し方でゆっくり口をひらいた。
「少し前ですけれども・・・あの日も彼のことをつぶやていました」
下川はいつもどおり、愛妻弁当を電子レンジであたためていた。後ろから声がする。田中さん、通称「たなかあさん」彼女である。彼女は田中さんであるが、社内に田中が多くお母さんキャラのアラフォーの呼び名は自然と「たなかあさん」に落ち着いた。
「私がだんなにつくるなら水銀でももっておくけどね」
ブラックにもならないほどのコメントをぶち込んでくる。それが特徴であり、もう慣れてきた。
弁当をもって席に着くと人懐こい笑顔であとをついてきながら口を開いた。
「彼から連絡がすごくて新しい男がいるからそいつに金を払わせろって言うんだよ。妄想だよね」
着信拒否にしたのとつぶやいた。こんなおばさんを相手にする人もいないのにね。と弱く弱く笑った。それが最後の会話となるなんて・・・。
夏頃に離婚したとか言ってましたね。
彼女にいったい何がおきたのでしょうか・・・
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