第9話 頑張らない日もあるけれど
今朝も早起きして父を見送り、さてその後。
寝た。
爆睡した。三時間。
起きたの5時半。てかこんな生活ずーっと続けてく方が無理が祟るってなもんだ。
私は起きた後、誰かが「誰もおらへんのかー!」と一階にて叫んでいるのを聞き、来客かと思い着替えてから弟を呼びに部屋の襖を開けると、弟は思いっきり寝てたので無視して一階に下りた。
なんでも親戚のおじさんがたった今来ていたらしい。
そんですぐ帰ったと。へー。
そのおじさんには覚えがある。確かハスキー犬を三頭飼っていて、非常に優しかった。マルチーズもいたし鳩もいたな。
眠ったことと日和の良しあしでこんなにも素晴らしく平和な気分を味わっている。
私は飲みすぎても食べ過ぎても叱られるこの家で、とにかく飴を舐めていようと外へ買い出しに出た。
さとうに行くか。あいプラスカードが1420円貯まっている。
駄菓子屋でいつもの婆ちゃんから買うか。
するとだ。目の前の神社の駐車場に、トラックが停まっている。何やらかしましいメロディラインが流れ、小春日和の空の下、それは輝いて見えた。
スーパーマーケットの出張サービスである。
私はすいとそれに近づき、飴は無いか見た。
あった。さくらドロップスをじっと眺める。神社の神主の人がトイプーを抱いて「おはよう」と来てくださった。私は挨拶を返してから、「げんちゃーん」とトイプーを触らせていただいた。
「げんちゃん人気者やでー」とこの人たちは嬉しそう。女性にしか出せない春の雰囲気。
店の人が話題作りに「お休みですか」と聞かれ、年中休みな私は「お休みですよ」と後を濁した。
親戚から、ラーメン屋の手伝いの話が上がっていたのだが、私では到底務まらない。
赤ちゃんのお守をするだけでふーっと倒れる奴だ。自分でも体力の無さは自覚しているので、危険だからやめますと言うしかない。
出来ることは、揉め事を作らずに日々を過ごすことだけなのだ、実際。
ドロップの緑を取ったらメロン味だった。
帰りに車が道譲ってくれた。
今のところ良いことはそれくらいかな。
きっと後で「あの娘さん働いてないのよー」と話題になっているに違いない。
全く、どこへ行っても話題になる身と言うのも辛い。これが田舎の伝達力だ。明日には田舎全土へ話が回る。
その点都会は良い。しかし危険なものが多いのも都会だ。
田舎ゆえに、私は守られている。
ひよひよと鳥が鳴く。ああもう春なのだなあと思う、パソコンを打ちながら。
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