【秘密】

都稀乃 泪

第1話 爽良

ガラッ

ちょうど私が席に着いた時に後ろのドアが開く音がした。


肩につくかつかないか程度の長さでウェーブがかった少し明るい髪色、目にかかるかかからないかくらいの少し長めの前髪を白い花のピンで留めている。

透き通るような美しい茶色い瞳、けれどもう片方の目は前髪に隠れてしまい見ることは叶わない。

華奢な肩からは茶色いエナメル質のスクールバッグがずり落ちそうになっている。


そこには、淡いピンクの革製の定期入れ、それから赤い花びらの入った小瓶のストラップ。それが風に吹かれながらもう待ちきれないとでも言うかのように楽しそうに揺れていた。


「おはよう」


私は声をかけながら、彼女の肩を軽く叩く。


彼女は軽く肩をピクッと震わせただけで言葉は返ってこなかった。

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