夢のような時間。ー2ー


「ね、透子さん。手、繋ぎたい」


「へ?」


「だめ?」


潤んだ瞳で彼は聞く。


「う、うん」


「やった。ずーっと夢だったんだ。透子さんと手を繋いで歩くの」


いちいち嬉しい事を君は言う。


「やっぱり和樹も男だね。手おっきくて力強い」


「まーだ俺を子供扱いしてる?」


「そ、そういうわけじゃ!」


「あーあ。俺も二年生になりたい」


「君なら行けそう。賢いし」


「同じクラスだったら透子さんを一人にしないで良いのに」


あ・・・


「愛未と私の事、知ってるんだ?」


「矢田先輩から聞きましたし。透子さん、俺に相談してくれれば良かったのに」


「い、言えないよ!迷惑かけたくないし」


「迷惑かけてください。透子さんは一人で抱え込みすぎ。悩むなら一人より二人ですよ」


「和樹・・・」


「隠し事はもう禁止」


「は、はい。でも!それは和樹もね」


「え?」


「もう勝手にいなくならないで」


「透子さん・・・」


「和樹がいなくなったら私・・・」


「大丈夫。どこにも行かない」


和樹は私の手を強く握り、言った。


もうあんな思いは嫌。


和樹の側にずーっといたいよ。


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