私の好きな人。ー5ー


目が覚めると、見覚えのない真っ白な天井が見えた。


ベッドの中?


「え・・・」


横には椅子に腰掛ける藤宮くんが。


「ど、どうしてっ」


「俺が先輩をここまで運んだので」


だ、大迷惑を。


「ご、ごめん。ありがとう・・・でも、藤宮くん。私にもう優しくしなくて良いのに。彼女さんが気にするよ?」


「・・・すみません、先輩。俺は先輩に嘘をついていました」


「えっ?」


「彼女のフリして貰ってたんです、あの子に」


「そんなに、私が嫌だったかぁ」


「違います!俺、見ちゃったから。透子先輩が藤堂先輩とデートしてるの。透子先輩は俺とのデートじゃなくてやっぱり藤堂先輩とのデートを選ぶんだなって思って諦めようと思ったんです。だから、透子先輩が俺に遠慮せず、藤堂先輩のとこに行けるようにわざと彼女を」


「それで、ずっと私を避けて?」


「はい。でも、矢田先輩から透子先輩が藤堂先輩を振ったってさっき聞いて。藤堂先輩の元カノさんに避けられてる事も、全部聞きました」


「全部・・・」


「俺、バカですよね。透子先輩が一番辛い時に余計追い詰めて。最低だ」


「で、でも!藤宮くんは勘違いしてたわけだし、仕方ないよ!悪いのは私・・・」


「透子先輩は何でいつもそうやって全部自分一人で抱え込むんですか!」


「藤宮くん・・・?」


「透子先輩・・・透子先輩は俺が好きですか?」


っ・・・


「ふ、藤宮くん・・・」


「ねぇ、答えて。透子先輩」


藤宮くんが私の頰に触れ、聞く。


「好き・・・だよ。私は藤宮くんが大好き」


私は藤宮くんを見つめ、言う。


「透子先輩・・・」


「私は藤宮くんとずっと一緒にいたい・・・」


私が言うと、藤宮くんが私を抱きしめた。


「ふ、藤宮くんっ!?」


「ずっとこうしたかった。今度は俺が透子先輩を抱きしめるんだって」


「藤・・・宮くん」


「すっげぇ嬉しい。大好きです、透子先輩」


「っ・・・」


「透子先輩、泣いてるんですか?」


「嬉し泣きだよっ」


「あはは」


「ん?藤宮くんも泣いてる?」


「も、もう!人の顔覗き込まないでくださいよ!先輩!」


藤宮くんは涙目だった。


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