揺らぐ想いー5ー


「うむむ。リーチにすらならない」


私は藤宮くんと別れると、ビンゴを見つめながら教室へ。


真ん中は普通のビンゴみたいにFreeという事で空白にした。


一列揃ったら何かしたいな。


藤宮くんと相談すれば良かった。


だけど


「透子ちゃん!」


教室に戻るなり、愛未が私を呼ぶ。


「どしたー?愛未」


「立夏くん、昼休み愛未とランチもしてくれなかった。いつも一緒に食べてるのに」


「マジ?放課後、あいつ借りて良い?私からビシッと言うよ」


「ありがとう!透子ちゃん!」


全く、あいつは!



「立夏!ちょっと面貸しな」


放課後になると、私は立夏を呼び出した。


「ヤンキーか、お前は」


「とりあえず、屋上ね」


「何なんだよ」


厳しく言わないとな、立夏には。


「何だよ?透子、話って」


屋上に着くと、立夏は不機嫌な顔で聞く。


「立夏!あんた、愛未に最近素っ気ないんだって?」


「え?」


「愛未、泣いてたよ。だめじゃん!泣かせるなんて!もっとさ、愛未の事考えなさいよ」


「ひどいよなぁ、俺」


「自覚してんならさ、今すぐ愛未のとこに・・・」


「俺・・・愛未とは別れるつもりなんだ」


「は?な、何で!?意味分かんない!」


「もう限界なんだ。最低なのは分かってる。でも、俺は・・・あいつにとられたくないんだ!」


「え?」


「・・・俺は透子が好きなんだ」


何で・・・


「嘘でしょ?あんた、彼女今迄たくさんいたし、愛未とだって上手く・・・」


「透子は幼馴染としか俺を見てないって思ってずっと忘れる為に俺は色んなやつと・・・」


「愛未と別れてどうする気?」


「自分の気持ちに正直に行く。透子をあいつから奪い取る」


「わ、私は無理!愛未を悲しませくないよ」


「じゃあ、もし愛未がお前の親友じゃなかったらお前は俺を選ぶのか?」


「帰る!」


「透子っ!」


かなり動揺している。


私は涙目になりながら屋上を出る。


私は立夏にずっと片想いをしていた。


まさか両想いだとは思わなかった。


でも、愛未を悲しませたくない。


それに、浮かぶのは藤宮くんの笑顔。


どうしたら良いの・・・。


気持ちが大きく揺らぐ。


神様は意地悪だ。


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