私の後輩が可愛すぎるんですが。ー3ー


「はい、到着です」


「お、お邪魔します」


藤宮くんの家に私はお邪魔する。


どうやら家族はいないようだ。


玄関先には藤宮くんの高校の入学式の写真が飾られている。一緒に両親らしき人達も写っている。


「バカみたいですよね?玄関先に写真なんか飾って。俺、もう高校生なのに」


「え?」


私が写真を見ていると、藤宮くんが言った。


「お茶お入れしますね。先輩はそこの部屋に。俺の部屋なんで」


「う、うん」


良かったのか?私。


立夏の家にはよく行くけど、男子の家に上がるなんて。


しかも2人きりだ。


緊張するな、やっぱり。


部屋に入ると、私は藤宮くんのベッドの上に座る。


藤宮くんの部屋には勉強机とクローゼットと青いベッドと本棚だけでやけに整理されている。


本棚にある本の数は少ないし、全体的に物が少なく、立夏の部屋とは全く違った。


必要最低限の物しか置いてない感じがした。


「お待たせしました。すみません。お菓子あまり種類が無くて」


藤宮くんはお茶の入ったグラス二つとお菓子を入れた皿を乗せたお盆を持って部屋に入って来た。


「大丈夫だよ。お構いなく。あ、このクッキー私も好き」


「良かった。俺も大好きなんです」


いざ、2人きりになるとやっぱり意識する。


藤宮くんにはそういうつもりはないよね、うん。


藤宮くんが両親の寝室から机を持って来ると、私と藤宮くんは机に教科書とノートを並べ、勉強を始める。


「なるほど、ね。ここなら公式覚えちゃえば簡単ですよ?透子先輩」


「本当に二年の範囲分かるんだ!」


「一応、大学は国公立狙いなので。早いうちから受験勉強を始めてます」


まだ一年なのに!?


まだ大学すら決まってない私よりずっと藤宮くんはしっかりしている。


でも、後輩に二年の勉強習うって屈辱。


「私、先輩として恥ずかしいな。藤宮くんのが先輩みたい」


「こうしてると、同級生みたいですね?」


「藤宮くんが同じクラスだったらすごい甘えてるかもなぁ、私」


「俺、先輩と同じ学年が良かったです。だって学年違うと学内イベントだって一緒に過ごせない」


「修学旅行や校外学習とか?」


「はい。修学旅行はお風呂上がりの浴衣の先輩を見れるイベントが・・・」


「藤宮くん?」


「って!先輩、勉強するんだから脱線しないで」


「ごめんね、藤宮くん」


「ほら、手止めないで。問題解いて?」


「は、はい」


藤宮くんは私に熱心に勉強を教える。


だけど


か、顔近いし、肩が何度も当たる。


「分かった?透子先輩」


「えっ?あ、ああ!うん!」


落ち着け、私!



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