第3話 匂いが好き

「今日は張り切り過ぎて汗かいちゃった」


「久恵ちゃんの汗のにおい好きだよ。とっても良い匂い。甘酸っぱい匂いに包まれるようで」


「私もパパの匂い好きよ。男の人の匂いは、うまく言葉では言い表わせないけど。乾いた洗濯物の匂いを嗅ぐとよく分かる。その匂いを嗅ぐと何か落ち着くような。父親の匂いみたいなところがあるのかな」


「女の子の匂いは男をムラムラさせる働きがあるように思う。以前、久恵ちゃんが酔っ払って、それを介抱して、布団に寝かせたときだけど、布団にその匂いが充満していて、ムラムラして、襲い掛かりたい衝動に駆られた。それで慌てて部屋を出たことがある」


「襲い掛かってほしかったわ」


「理性が邪魔をした。残念!」

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