第16話
「華ぁぁあああ蓮んんん! 会いたかったよぉぉおお!」
「おうおう叫ぶな抱きつくな頬ずりするな舐めるなぁ!」
何処をとは言わないけど!
言わないけど!
……。
「あ、どうも初めまして。奈良県警の瀬田と申します。そちらは月刊マーの津久井さんで?」
「はい、そうです。お噂はかねがね」
「……あ、はい」
時刻は夜八時半。高天原山を前に待機していた私の所へ千歳たちがやって来た。九州からわざわざどうやって来たのだろう。大規模なテロが起こった時点で九州の航空は完全麻痺の状態だっただろうし、九州から群馬は車で時間一〇時間以上はかかるはずだ。
「……で、ここが、犯人が次に狙うらしい場所ですか?」
津久井が辺りを見回しながら言う。
「剣ヶ峰の時も思いましたけど、どうして犯人はこう人気のない場所をわざわざ標的にするんでしょう? 何か意味があるんですか?」
「まあ、後輩が言うには何か高天原という土地と関係があるらしいですけど……私も詳しくは」
そう、実際の所私にも良く分かっていなかった。何かと勝手に自己完結をしてしまう奴なのだ、今泉真優は。まあ、今回は先輩らしく温かい目で後輩を見守ってあげるとしよう。
「でも、その後輩もさっきから姿が見えないんだよなあ」
一体何なんだろうね、千歳。それとさっきからまとわりついてきて鬱陶しいけど、いつになったら離れてくるのかな?
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