1-5)話しているうちに整理がつくタイプと聞いて。

 さて先程の話で締めたように見えましたが、「話しているうちに整理がつくタイプだから文字にするのが苦手」とのお話を伺ったので追記です。ツイッターが元の話題なので本当話がしっちゃかめっちゃか飛んでますね……覚書のようなものです、すみません。


~いいからペンをとれ~


 さて「言葉にすると整理がつく」という発言ですが。私個人としましては非常にメリットだと考えています。乱暴な言い方をしますと、「ならばさっさとペンを持て! とりあえず書けば終わる!」って感じですね。

 トリック考えず行き当たりばったりなミステリもどきを書いているのが私です、どうも。


 書かない人には馴染みない感覚かもしれませんが、文字の利点で強い部分は「残る」ということだと思います。残るということは、自分の頭の中にあるだけではわからないものが形になるということです。

 人に寄りけりでしょうが、私は頭の中に映像がないタイプです。言葉にすると整理がつくのは、そもそも私のことですね。仲間を見つけたぞ、囲め! くらいの勢いで当時お話させていただきました。ちなみに私は書かなければ三行前の言葉すら覚えていられません。けれども文字にすれば見て把握できる。いつでも最初に自分の書いたものを確認して続きを書けるわけです。


 更にさらに文字のメリットをいいますと、というか最初に話したことですが、文章の切り貼りのしやすさは本当に強いです。

 たとえば漫画だとコマを切って入れ替えをするだけで大変だと思います。けれども、文字ならワンシーンごそっとカットペーストで動かせます。時間軸の流れさえ間違っていなければ大丈夫です。


 文字は非常に後出しがしやすい特徴があると思います。漫画でしたらコマを入れ替えるとなると見開きや他のコマとのバランスを考えて描き直す必要が出てきますが、この微調整が文字はしやすいのです。わぁ便利。


 人からお話を伺うと(特に絵描きさんに多いようですが)、よく「頭の中の映像が形になれば~」というお言葉を聞きます。頭にある人は凄いですね。でも、なくても大丈夫です。

 私は先にお話しましたように、頭の中に映像は有りません。とにかく書いて埋めていくタイプです。だからそういうのは人によりけりなんです。話さないと浮かばない、と嘆かなくて大丈夫です。それに、映像が無いのならもう一つメリットがありますよ。


 映像が無い人の最大のメリット(といっても私の主観ですが)。それは、「読者が自分」である点です。自分の大好きな萌が形になっていく様を満喫できます。これは本当に楽しいです。自給自足しやすいともいいますか、必ず自分へのご褒美になります。


 頭の中にあるだけでは見えなかった彼らの、細かい別の部分も形になっていくんです。多分頭の中だけだったらそのシーンだけで終わってあいまいだったものが、具体的に、かつ残る。残るとあとで読み返すのが楽しいですし、とにもかくにもこれは最大のメリットじゃないかなあと思います。

 理想通りじゃないからと書かない人がいるのを知っていますか? この苦痛があるのは、頭の中に映像があるとか理想があるからなのかなあと私は思っています。理想を追いかけやすいのが映像のメリットですが、逆に理想で筆が止まってしまう可能性もあるんです。その点では、書いて埋めていく人は強いかな、と思っています。どちらもメリットデメリット色々ですね。

 多少文章を書くのに言葉が浮かばないとかあって苦しむこともあるかもしれませんが、根底は自分の形にならなかったあいまいな部分を楽しめる。一読者でい続けられる書き手は強いと思います。きっと、楽しく書けますよ。


 さあ、ペンを手にしましょう。好きを形にしましょう。そうしたらきっと、とても楽しいですよ。


 生涯の業、文字書きの世界にようこそ!


(2016/12/19)

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