第22話 ゴキブリと稲垣順二


 一日の終わりで 、すっぽかした予定に気付いた時

 目の前で電車を逃したばかりに、 遅刻することが分かった時

 お風呂の栓をしないまま、お湯を垂れ流した時

 提出期限になって、思い出した宿題



 恥ずかしいとも

 哀しいとも

 逃げ出したいとも少し離れた


 なんとかできたのに


 紙で指を切った時みたいに

 戻れたような気がするのに


 ゴキブリと稲垣順二みたいに

 忘れたころに 落ちる穴


 この感情はきっと

 死ぬまで 僕の心臓を悪くする

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