第2話 なまえ がついた

さいしょのひって、さんざんだったよ。


「いい!?逃げないように押さえてて、閉めるから!」


「はいよー」


なにこれ!

なにこれ!


こわいこわいこわい!


なんかぼくのからだにひっついてくるよ!

なにされてるのぼく!?


なんだかヘンなニオイもするよ!


「おー真っ黒だなぁ!こりゃ洗いがいがあるな。」


ただいまの声のひとがにこにこして、ぼくをみて、なんか言ってるよ!


それからはい、ってぼくをあったかい声のひとに渡したかと思ったら、

もうひとりが中へと入ってって、やっぱり「こわいこわいこわい!」だって。


ぼくはこわいことが終わって、こんどはあったかい風からだじゅうにかけられて、

またこわくて、でもなんだかおめめがとろん、ってなっちゃった、少しだけ。


ぼくのあとから出てきた子も、ぼくとおんなじふうに、風かけられて、

じたばたして。


あのひとたち、よくみると、ぼくたちよりもおっきい。

でも、悪いことはしないみたいだった。


「ちっちゃいねえ・・・」


「おー、お前は抱かれるのダメか、そうか。」


「ねえ、お名前考えようよ。

 こっちの茶トラが男の子だよね、で、そっちの三毛が女の子。

 女の子のほうはね、もう決まってんの。セドナ、イヌイットの海の女神。

 男の子は・・・リオ!」


「なんでリオ?」


「パッとリオのカーニバルが浮かんだから!

 それでは今日からリオとセドナ、よろしくね。」


にこにこ。

にっこり。


優しい声。


ぼくはぼくだよ?

それに、なんて言ってるか、わかんない。


「ま、根気よく覚えさせようね、ほら!リオ!おいでー!セドー!」



あったかい声のひとが、待ってる。

にこにこしながら。

ぼくは、とっとっとって近づいてってみる。

このひとはいったい何を言ってるの?


「がわ゛い゛い゛・・・首かしげてる・・・」


とたんにぼくのからだは、あったかい声のひとの近くまで持ってかれて・・・

やさあしくナデナデされたり、おそるおそる、でもぎゅってされたりした。


ぼくはね、また眠くなっちゃって・・・

もうひとりの子と、また重なってうとうとしてたら、

今度ははっきりとこういわれた。


「おやすみ、リオ、セドナ。」




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