僕の片目は灰色
まこにゃ
第1話ぼくがぼくになった日
ぼくのうまれたのは、いつごろだったかな。
ぼくと、もうあとふたり、鳴いてた。
でもひとりは、だんだん弱弱しくなって。
そのうち鳴かなくなっちゃった。
もうひとりと、ぼくとで。
鳴いてたんだ。
そしたらね。
「この2匹なんですけど・・・。」
「両方いただいてもよろしいですか?」
って。
声がして。
ぼくらのからだは、何かに包まれて。
そらをふよふよしてから、やさあしく、そっとどこかに置かれて。
しばらくガタゴトいってたけど、急に止まって、またおそらをふよふよ。
今度は違うばしょにきたみたい。
においがちがう。
そこでそっとおろされて、じじじっとおとがして、なにかがぼくたちをみたんだ。
「ここがお前たちのおうちだよ、これからよろしくね。」
「チャック開けとくから、ここにいてもいいし、探検してもいいよ!」
って。
声がした。
やさしい、あったかい、まあるい声。
ここちいい声。
ぼくはその声が、この先「まま」になるなんて、まだしらなかった。
ぼくともうひとりはといえば、
こんなよくわからないところに連れてこられちゃったもんだから、
ちょっとこまってた。
「どうしようか?」
「どうしようね?」
もうひとりは、ちょっとだけ甲高い声だった。
ぼくたちはあたりをきょろきょろとみる。
あそこにおいしそうなものがある!
こっちのざらざらはいったいなんだろう?
いろいろ考えたんだけど、
それよりもぼくたちはまだここがどこだかもわからなくて、
しようがなくて、ふたりでばってんになってうとうとし始めた。
うとうとしてたら、ただいまーってこえがした。
あったかい声のひとは、おろおろもじもじしてるみたい。
なんだろう?
「おかえりー、あのね」
もじもじして、ただいまって言ってたひとをおそるおそる見てる。
「ごめんなさい・・・」
って言ってから、ぼくたちふたりを包んで。
「ふたりいただいてきちゃって・・・」
って。
「ホントはね、3匹いたの。
でも、1匹だけ虹の橋渡ってっちゃって・・・
どちらの子でもいいですから、って言われたとき、
ひとりだけってできなくて。
だってひとり残っちゃったら、その子どうするんだろうって思って、それで」
そしたらただいまの声のひとはね、ぼくたちをみて、くしゃっと笑って、
「まあそんな気がしてたけどね」
って、ニコッと笑っていったんだ。
そのひとが「ぱぱ」だってことに気付いたのも、あとになってからだった。
ぼくと「いもうと」は、ここの家の子になったんだ、って気付いたのも、
あとになってからだった。
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