君と一緒に
夕霧 夜薙
花は無惨に儚く散る
………気分が悪い…当然だと思う。今日で半月目。自分の想い人が半月前のこの日に急病で亡くなった。今迄好きで好きで…やっと昔よりは親しくなれたのに。僕はその人の前では強がりたくて弱い自分では無く道化を演じ、何時も小話を聞かせて君を楽しませていたね。眩しいような過去とは違う薄気味悪い現在。
そしてこの苦しさ…これは病だ。
病の名は
何時しか忘れられていたこの病は今雅に僕の身体を蝕み始めていた。最初に気付いたのは何時だろう?僕は君を嘆き哀しんだ。君を思う気持ちに歯止め等必要無くて。
そんな馬鹿な気持ちを振り払おうと夜中に家をフラッと抜け出して歩いていた。
すると…急な吐き気に襲われた。気分が悪くなりその場に膝をつき地面を見る。其処には淡い薄桃色の椿の花びらが綺麗とはとても言えないように唾液と一緒に零れ落ちていた。
……苦しい…一旦気力を振り絞り路地裏に行く。また気分が悪くなり椿の花を吐いた。
………嗚呼…知っている。本で読んだ。これは一種の病だ。そんな事を考えている暇も無くひたすら吐き続けていた。今は朝方だろうか?若しくはまだ、夜中か?吐き続けていたので時間の感覚も無く、自分が吐いたこの椿を見る。
そう言えば、薄桃色の椿の花言葉は…………
「控えめな愛」「控えめな美」外国では
「Ionging」意味は【恋しく思う】
……ははっ…意味を理解した途端に納得した。僕は何時まで経っても君の事が好きだった。でも、この世に君はもう居ない。
…嗚呼…僕は死ぬだろう。この病で。君は悪くない。気持ちを伝えなかった僕が悪かった。だから、この病で僕が死ぬまで君は天国で待っていてよ…。
君の為に死ぬから…いや、また面白い小話でも、持って会いに行くよ…たとえ僕が地獄に堕ちても。
………嗚呼…明日は死ねるかな…?今日も微かな日差しが差しかかる日陰で花を吐く。
花吐き病とは厄介な…恋い焦がれると死が近づく。……早く。
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