第9話 奇跡と法
探偵団イーグルチーム
青木 成三
第9話 奇跡と法
時と共に平和が続くと少年が荒廃していくのはなぜだろう? 貧富の格差のせいだろうか、平和ボケしてしまう心の甘えのせいだろうか? それとも閉塞してしまう社会のせいだろうか? だれにも、答えはわからない。
ただ言えることは権力は腐敗すると言う言葉だろう。
平和な時代が続くにつれ人の心は荒廃し、
だれ、甘え、腐敗していく、この心の荒れはなんだろうか誰にもわからない。ただこのことは時代と共に国家が傾き崩れていくことと無縁ではない。どんな英雄や賢者が現れてもその栄光ははかなく忘れられてしまう。このこともまた無縁ではない。
そしてこのことと闘う3人の勇者がいる。
「ねぇ、このごろ物資の生産性が地球で落ちているだとよ」
とカールが言った。
「へぇ、若者の労働意欲の減少が問題だろ」
と僕が言った。
「難しい問題だな」
チェンは言った。
「結局、教育の問題だろ」
「いいや、ことはそんな簡単なことではないんだよ」
と僕は答えた。
僕はそのことが複雑なことを知っている。
地球に残った人々は、心の荒れというものをもっていると雑誌の記事で知っている。宇宙へのあこがれと満たされない刺激と絶望感そうゆうものがあると書いてあった。
地球の環境、限界に近づいた農耕作物。グローバルな社会で極端に合理化された社会の矛盾、地球連邦は夢をなんとかばらまいてきたもののフロンティアに対する熱い希望、高齢化社会、などなどである。
「結局、僕の頭にかかってるということだよ」
カールは答えた。
現実論としては、刺激に飢えた人々に夢をあたえるために他の恒星系へワープを使って
新しい夢を与えるしかない。そう思う今日この頃である。
さて、話はこれくらいにして、新たな冒険としてロック保安官からこうゆう命令をもらった。宇宙に密航者がいるらしい。そしてその活動を支援する人達を捕まえろとのことだった。
「重い使命だなあ。そんなことってほっておけばいいのに」
でも整理しておかないと宇宙では空気でさえ重大問題なのだ、ほっておくとえらいことになる。宇宙ではスラム街などいらないのだ、
まずスペースコロニーセブンを飛び立ち、宇宙ステェーションへ向かった。
「下手くそ、もう少し流星号の運転を覚えろよ」
とチェンが言った。
「無茶言うなよこれでも、安全運転なんだぜ」
とカールは言い返した。
しだいに宇宙ステェーションは近づき、ドックへ入港した。
「さあ、宇宙ステェーション管理部長に会ってこよう」
と僕が言ったそのとたん。物音がした。
「別のドックで音がするな。行ってみよう」
そこは、地球からの密航者が保安官に捕まっているところだった。
「さっさと来い」
と保安官は、密航者に手錠をかけて、詰所まで連れて行った。
「僕らも、行ってみようぜ」
カールは言った。取り調べが始まった。
「どうして、密航してきたんだ」
保安官達は詰め寄った。そしてとうとう本当のことをしゃべり始めた。
「実はコロニーシックスにある、マフィアにかくまわれる、予定だったんです」
そう、密航者達は答えた。
「マフィア!」
僕達は仰天したそんなものが宇宙にあるなんて、とても僕達はびっくりした。後は、保安官が詳しく取り調べを始めた。僕らは、先に、そのマフィアのアジトを調べて、コロニーシックスへ向かった。
「さあ、防弾チョッキを忘れるなよ」
カールは言った。
僕は緊張して背筋が寒くなるのを感じたが、
「みんな、慎重に行こうぜ!」
チェンとカールに声をかけた。
「よし、準備はいいな」
と言ってマフィアのアジトへ入って行った。
そこは倉庫街で人気のない場所だった。
作戦はこうだ、チェンが見張りを制圧して、
一機にカールがショックボムを投げて、僕が突入する。そして武装解除して、一件落着というわけだ。
「では、いくぞ」
チェンは言ってショックガンで見張りを慎重に倒して行った。
「さあ、いくぞ」
僕は突入して、ぞろぞろいる敵に対してショックガンを連射して、カールが援護に向かい。無事連中を倒した。そしてチェンがガラスの向こうで何か大声で叫んでいる姿が映った、そしてここで奇跡がおこった。
「後ろ、後ろだよ」
と誰かの声がはっきりと聞こえた。カール
は、前に飛び伏せ、僕はそこに人が立って銃をかまえているのが見えた。そして、ショックガンを撃った。銃をかまえた人は倒れた、チェンはエレベーターに乗って二階から降りて来た。
「油断したらダメじゃないか!」
チェンは顔を真っ赤にして怒りだした。
でもカールと僕は、あの声をはっきり聞いた。そのことについて語りだした。あれは奇跡?僕は混沌の力かなとも思い始めた。
それについてカールと語り合っているうちにロック保安官がやって来て、マフィアの連中を逮捕し始めた、それから僕らの所へやって来た。
「やったじゃないか、大手柄だぞ」
と言って。
僕達は、帰り支度を始めた。僕達は、あれやこれや語り始めた、あの時、神様の声が聞こえたんだよなと、カールが言った。
「後ろ、後ろだよ」
て、言ったんだよな、奇跡かなと、僕は思った。でも思う、混沌の声と神様の声は何が違うのだろう。僕だけの考えだけど、お釈迦さまやイエスが使う力は混沌とは違うのだろう。もし混沌だとしてもそれはよい混沌だと思う、そして秩序を乱さないのであろう。僕はカールにそう言った。カールも納得してくれた。そしてこのことはイーグルチームだけの秘密にしておこうということになった。
でも秘密にしてもよいのだろうかとの思いもよぎる。しかし神の力で楽園をと言う考え方は堕落と紙一重だ。おまけに少しだけと言う考えもどこを歯止めにしていいかわからない。困った問題である、さらに信教の自由があるから、宗教同士の争いに巻き込まれる危険もある。後、科学万能の世の中で受け入れられるだろうか?などなどである。
「しかし神の力かーTRPGの世界だなー」
とチェンは言った。確かにゲームの世界で
はあったような気がする。しかし経験点を払わなければいけなかった気がする。どちらにせよ大問題だ。
「いきなりゲームのルールが現実世界になっちゃうんだものな」
それはそれで国際連合の問題レベルの話だ僕達が決めるのは勝手すぎる話である。あんまり主張すぎると変人扱いされる可能性もある。
「神の守護かーあったらいいんだけどな」
またチェンは言った。
「僕達は不思議な気分だけどな」
とカールは言った。
「まぁ一応みんなの胸の中に」
と僕が言った。あんまり考えても複雑すぎてちょっとやそっとのことで答えのでない問題だということはわかっているので、
「一応落ち着いて考えてくれな」
とみんなに釘をさしてこの話を終わらした。
神の守護かぁカールが不思議がるのも無理はないなと思いながら、流星号に乗りコロニーセブンへの帰り旅についた。
この不思議なことのあったコロニーをあとにして。
「いいなぁカールやイーグルは、神の声がきけたんだから」
とチェンは言った。
「おいおい」
二人は同時に言った。
「それが無神論者の言うことかぁ」
「だって面白そうな話だもの」
とチェンは言った。
「まだ僕達も心の整理がつかないんだ」
と言って。話は終わり三人の好きな音楽の話に変わった。
完
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