第17話 忘れえぬ一言
◇
皆さんにはありませんか?
誰かから言われた、心に残る一言――。
◇
「お前、毎日がすごく長く感じてるだろ?」
ある日、私に投げかけられた先輩の一言です。
仕事が決まり、先輩について仕事のやり方を教わる。
けれど、私には辛いなと思うこともあって。
なにしろ、私の性格はかなくなな所があったり、冗談を真に受けたり、からかわれるのが嫌い。
どんなにライトなものでも性的な話など、ぜったいに聞きたくない。
今ならわかるけど、私って取っつきにくい性格だったと思う。
そのため、職場でもどことなく距離感を感じたりしていました。
……そう。
その時の私にとって、職場での、たった半日がものすごく長く感じていたのです。
◇
ある日、突然、とある先輩が私の所にやってきて、冒頭の、
「お前、毎日がすごく長く感じてるだろ?」
と言ってきたのです。
固まってしまった私を見て、さらに一言。
「ばーか。いっこいっこ100%でやってないから、そうなるんだよ」
◇
思わずハッとしました。
そっか。
心のどこかで、嫌だな、嫌だなって思いながら仕事をしていたのです。
目の前にある仕事の一つ一つを、自分の100%のつもりで取り組む。
すると、半日どころか1日があっという間に終わるようになりました。
気がつくと、自分の立ち位置も変わっていて、大きな仕事も任せられるようになって。
気がつくと、性格も変わっていたかも。……まだ冗談とか、性的な話を受け流すのは苦手だけれどね。
あの時の先輩からもらった一言。
今では部署も変わり、もう会うことも無くなってしまったけれど。
あの一言が今の私をかたち造っているのです。
ありがとうね。先輩。
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