第9話 こんな「よい人」「わるい人」はいかが?
私の家に古い書物が少し残っています。
今日はその中から――、
※本文がくずし字の平仮名ばかりなので、適宜に漢字に置き換え句読点を入れています。
◇
「よい人ばかりで和合せぬ話」
ハハ:コレ、よめヨ。
ヨメ:ハイハイト。そのお茶をもち亭主の後ろへ置き「ココへおきますよ」ト言いつつ歩みゆく。
テイ主:いきなり後ろへ手をやれバ、茶碗ころげだし、その煮え茶にて手をやけどをいたし、アツツト言いながら、女房をよぶ。
ヨメ:ハイハイ。
テイシュ:お前が悪い。なぜ前へおかないのだ。
ヨメ:口の内にて「おっかさんがお茶をもっていけといわなけりゃ、こんな粗相
ハハ:これを見て「
右三人とも我が悪いと思えぬ=「よい人」ばかりにて和合いたさぬわけ。
※亭主はヨメが悪いといい、ヨメはおっかさんが悪いといい、ハハは伜が悪いという。自分は悪くないんだから、=よい人。
◇
次いで逆パターン。
「悪い人ばかりで和合する話」
ハハ:コレ、よめヨ。
ヨメ:ハイハイト。そのお茶を亭主の後ろへ置き、ここへ置きますよと言いつつ歩みゆく。
テイシュ:いきなり後ろへ手をやれバ、茶碗ころげだし、その煮え茶にて手をやけどをいたし、アツツト言いながら、その始末をいたし、「私が悪かった、よく見てとればよかった」と言うを聞きつけ、
ヨメ:「わたくしが
ハハ:その行為を聞きつけ、「わたしが悪かったヨ。もっていけと言わずにここへ呼べば粗相はできぬものヲ」と言う。
※自分が悪いという=悪い人。
◇
明治時代の教訓本のようですが、前後が紛失してしまって題名とかは不明です。
私は悪くないという人=他の人が悪いという人。
私が悪かったという人=まず自省する人。
不必要なことまで背負い込む必要はないですけど、やっぱり自省する人の方が魅力的だなって思います。
しかもね。ここだけの話。これって年齢関係ないんですよ。
いい年齢をした大人でも、他の人に責任をなすりつける人も……。
まさに、言うはやすく行うはかたし!
◇
孔子は「
ここから名前をとったのが「三省堂書店」さんですね。
私など、とても三省はできませんが、自分のしたことは素直に反省したいと思います。
もちろん、自分の書いた文章も。
……そしていつか。もっと面白い物語が書けるようになりたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます