うさぎの森日記。――気まぐれエッセイ
夜野うさぎ
第1話 お供えのお酒
これは私が結婚する時のお話です。
急にかかってきた電話に出ると、相方です。
「あのさ。お供えものとして1対の日本酒が必要だってさ」
……ええっと、今は披露宴の司会者と打合せをしていて手が離せないよ~。
でもなぁ。お酒飲まない人に任せるのはちょっと不安が……。
私「ごめん。今ね、打ち合わせしてるから、お願いしていい?」
「うん。わかった」
私「どうせなら飲んで美味しいお酒がいいと思うから、お店の人に “ 燗で美味しいお酒 ” を教えてもらって、それにしてね」
「了解! 任せて!」
これでよし。じゃあ、打合せの続きしよっか――。
その日の夜。
「買ってきたよぉ! これでいいでしょ?」
ご褒美を待っているような相方を前に、私もにっこりします。
目の前にはラッピングされたお酒の箱が二つ。
私「サンキュ! ……どれどれ」
お供えで持って行く時は、箱を外して持って行くことになっている。さて、何のお酒を買ってきたのかな?
私「……は?」
丁寧に包装を外していくと、中から女性のイラストが出てきました。
ちらっと相方の顔を見ると、うれしそうにニコニコしています。
ちょっと待ってよ。これって、もしかして……。
そこから出てきた日本酒には流ちょうな筆文字で
「お ん な 泣 か せ」――
うおい! これを結婚式にお供えするんかい!
ぬぬ。お主。私にこれを見せるとは度胸があるね……。
と相方の顔を見ると、褒めて褒めてオーラが。
私はにっこり笑って、
「で、どこの酒屋で買ったのかな?」(酒屋に文句言っちゃる!)
結局、久保田の
――うちはこんな夫婦です。
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