クリティカルポイント
刀篤(かたなあつし)
プロローグ
プロローグ 神坂真理
プロローグ
[神坂真理]
私はよく恐ろしい夢を見る。
その夢はいつも、だいたい同じようなテーマを孕んでいて、私は大勢の他者の『欲望の渦』に襲われ、嬲られ、呑み込まれて煉獄の淵へ堕ちてゆく。
それは夢だから救いがあった。目を覚ませばその淵から生還できる。目覚めた私はほっと息を付き、胸を撫で下ろすのだ。絶望は永遠には続かない……しかし。
いつものように恐怖の叫びをあげて目覚めたある朝、自分のいる場所が、夢の中と全く同じであることに気付き、私は戦慄し、絶望した。幼い頃のことだ。
この世界は、生きとし生けるものの欲望のせめぎ合いで構成されていて、私が存在する限り逃れるすべは無い……神にでもならなければ。
私はその朝から心を閉ざした。ただ、その状態を甘んじて受けるつもりは毛頭なかった。
私にとって世界に満ちている『欲望の渦』は敵だ……私は敵の研究を始めた。敵の正体を見極めることができれば、対処の方法も自ずと導き出すことができるだろう。
まもなく私は敵の正体に辿り着いた。世界の中でせめぎ合っている『欲望の渦』とは、ある自己複製子の”延長された表現型”と呼ばれているものだった。螺旋状に構成された悪魔の
私は悪魔を飼い馴らしてみせる。
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