β14 狙われた神☆純潔の人類がいる

   1


「そして、今に至る……。と言う訳だ」


 玲は一気に話し切った。

 その話の内容は、普通の人なら一笑に付すものだが、玲の真剣な顔をみて、美舞は信じざるを得ない。

 実際、美舞は不思議な力を使えるから、説得力もあった。


「それで、僕が受け止めなければならない事って何」


 美舞がさっきから気になっていた事を訊いた。


「ああ。その話には、まだ続きがあってね」


「続きが?」


 昔話か神話かがまだ続くのかと、美舞は思った。


「その時に残ったのは、新人類だけではなかった」


「一体何がかな」


 美舞は疑問に思った。

 一体どうなっているのだろう。


「神なる者はとある国のとある高原に僅かながら残っている。勿論、力を持ち、高度な文明も持っているが、野心はなく、言わば新人類の傍観者という立場をとっている」


「ふーむ」


 美舞はしっかりと聞き入っていた。


「そして、聖なる者も魔なる者も僅かながら残っている。でも、彼らは力を失い新人類と共に生きて来た」


「ふーん。それで」


 早く続きを聞きたかった。


「でも最近、その力を使えるものが出て来た」


「え?」


 美舞の吃驚に玲はびくつかない。


「それが美舞先輩とそのご両親と言う訳」


「んん?」


   2


「美舞先輩のお父さんは魔なる者、お母さんは聖なる者の純血人類なんだ。そして貴女は――」


「僕はハーフって訳だね」


 美舞は驚いている割には淡々と言った。

 玲は頷いた。


「聖魔のハーフは普通、力を失うんだけど、稀に両親の力を受け継いで生まれる者がいる。その時、そのハーフの力は強大なものとなる」


「僕にそんな力が?」


 両手を見つめる美舞に、玲が説明した。


「その君の存在が、神・聖・魔に知られてしまった。そして、美舞先輩を手に入れようと動き出した」


 玲は怖い顔になる。


「何で?」


 素直な美舞の反応だ。


「美舞先輩の力を利用して、地球上を支配するためさ」


 静かに目を瞑っていた美舞だが、桜の蕾が花開くように輝いた。


「僕はそんなのに協力する気はないよ」


 当然な事だと目で語る。

 玲も同じだ。


「そこが不思議なんだ。彼らはどうやって美舞先輩の力を利用するのか。貴女の気持ち無くして力は使えない事は知っている筈だから、強引に拉致しても意味がない。……まあ、とにかく、俺は美舞先輩を護る為にここに来たと言う訳だ」


「でも……。僕より弱くてどうやって護るつもり?」


 美舞はいたずら好きの少年の様な顔で笑った。

 玲は速攻で苦笑し、肩を竦める。


「まあ、いないよりはいいでしょう」

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