第23話「決戦」
そして僕たちはシルフィード城へ戻り、地下室へと向かった。
「じゃあユカ、宝玉を杖に」
「はい」
キリカさんに促されたユカは僕や他の皆から宝玉を受け取り、それを一つずつ杖の先端にはめ込んだ。
すると杖が宙に浮かんで輝きだし、その光がユカと側にいたミカとミルちゃんを包み込んだ。
「あ、杖の意志が頭の中に?」
「もうわかってるみたいね、わたし達が何をしたいか」
「うん。杖さんが三身融合のやり方教えてくれてるよ。やってみる?」
ミルちゃんの言葉にミカとユカが頷き、三人は手を繋いで杖を囲んで輪になり、精神を集中し始めた。
すると三人を包む光がさらに輝きを増し、そして三つの影がひとつになり……。
光が収まった後、そこにいたのは。
水色の長い髪に銀の髪飾りをつけ、髪と同じ色の目に白く透き通るような肌、
白いローブとマントを纏い、右手に秘宝の杖を持った十五、六歳くらいの美しい少女だった。
「成功したわね。しかしこの姿って在りし日のユイそのものじゃない」
キリカさんが彼女を何か懐かしそうに見てるが、ユイさんって誰?
「ユイはね、ミカ達三人の先祖で、初代シルフィード女王よ。そして私達初代神剣士一行の一人でもあるわ」
「え? ミカちゃん達のご先祖様もキリカさん達の仲間だったんですか?」
「そうよ。でも彼女は途中で抜けちゃったけどね」
「え、何故ですか?」
「えーと、それは後でね。今は妖魔を倒すのが先よ。さ、行きましょ」
「あ、はい」
そして神殿に向かい、そこから核へとワープした。
「こ、これが核?」
僕達の目の前にあったのは直径三十メートルはありそうな光り輝く巨大な球体だった。
そして
「皆見て。上の方に亀裂があるわよね。あそこに妖魔が憑いてるのよ」
キリカさんが指さした先には、一メートルくらいの長さの黒い亀裂があった。
「……妖魔達が動き出した」
三身融合した彼女、って何て呼べばいいんだ?
まあとにかく彼女が亀裂を見て言った。
「よーし、妖魔なんてあたしが一瞬で消して」
ランさんがどっからか出したでかい槍を構えて言ったが
「ラン、気持ちはわからなくもないけどね、私達は手を出しちゃダメよ」
「そうよママ。それに私達は後で核を修復するんだから、力を温存しておかないとね」
アマテラス様とキリカさんがランさんを止めた。
「うえ~ん! あたしも戦いたいのに~!」
「まあまあ、ここは皆に任せようよ。僕やセイショウも我慢するからさ」
子供みたいに駄々こねてるランさんをヒトシが諌めた。
「そうですよ。あ、もし僕達がやばくなったら手を貸してくださいね」
僕がそう言うと
「う~、うん。じゃあお願い」
不満だらけのようだが、とりあえず任せてくれるみたいだな。
「皆、用意はいいか?」
カルマが身構えながら言うと
「ええ。おれとチャスタ、隆生さんとイザヨイさんとカルマさんが前線。優美子様とイリアさん、セリス君とルー君、ミユキさんが後方から援護射撃を」
「そして僕達が戦ってる隙に、ユカちゃん達が親玉をね」
シューヤとイザヨイが続けて言った。
「来たぞ!」
チャスタが叫んだ時、亀裂から無数の黒い影が僕達目掛けて飛んできた。
「はあっ!」
僕が魔を滅する奥義を放つと、一気に十数体の妖魔が消滅した。
「す、凄い。よしおれも!」
「僕もおっさんに負けてられるか!」
うわ、シューヤとイザヨイが僕に対抗心燃やして、同じ奥義でバッサバッサと妖魔を消していってるよ。
ところでイザヨイ、おっさんって……後でシバいてやるからな~(怒)
「肉弾戦じゃあれは無理だから……猛虎烈光波!」
チャスタが拳を突き出して虎の形をした闘気弾を放ち、妖魔を次々と撃ち落としていく。
というかその技も使えるって凄いよ。
勿論君の努力もあるけど、師匠のアミは本当に教え上手なんだな。
「皆なかなかやるな。では我も」
そう言ってカルマが手をかざすと、妖魔達は塵となって消えていった。
妖魔もまさかこっち側に自分達の大将格がいるとは思ってなかっただろうな。
「うわー。ねえ、あたし達って出番ないんじゃない?」
「いや、撃ち漏らしが来たみたいだぞ」
姉ちゃんが隣にいたイリアにそう言った。
「あ、ほんとだー。じゃあ修行の成果、見せてあげるわー。はあっ!」
イリアが気合と共に手から光線を放ち、飛んできた妖魔を消し去った。
「おいイリア、お前って浄化呪文使えたのか?」
「うん。ああいう敵はもういないかなー、と思ったけど一応修行してたのよー」
「なるほどな。では俺も」
姉ちゃんも神力で妖魔を消し去っていった。
「えーい!」
「はっ!」
ルーが光の矢を撃ち、ミユキが聖巫女の力で飛んでくる妖魔を撃ち落とし
「セリス君、お願い!」
ミユキがセリスに向かって叫ぶと
「うん。じゃあ、えい」
セリスが手をかざして妖魔の群れを真っ二つに分けた。
そして彼女が浮遊魔法で亀裂目掛けて飛んでいった。
すると
フフ、ジャマハサセンゾ。
亀裂から巨大な怪しい影が現れた。
あれが親玉か!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます