世界の命運を握るモトカノ

逃避する人

第1話 空から降って来た少女

 彼女は突然降ってきた。真っ暗な夜空から。

 よく映画とかで、女の子が空から降ってくるシーンがあるけれど、実際に見たのははじめてだ。

 重力加速度なんて気にしないような、ふんわりとした落ち方。極めて平和に着地を決めても、寝ているのだろうか、少女はその身を横たえたままぴくりとも動かない。近づいていくと、豊かな胸が上下している。……ぐっすりだ。

 少女が体に纏う燐光が、生い茂る木々の下生えを幻想的に照らし出している。

 なんで発光しているのか、とか。その鎖つきの首輪は何だ、とか。警察に電話しなきゃ、とか。

 いろいろ感想が渦巻いていたが、俺は、漠然とした予感を抱いた。

 これからきっと、ろくでもないことが起こる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る