テレビ
家にある白黒テレビはラジアルスキャン方式である。テレビは小さな電球が集まったようになっていて、その中を一瞬で光が駆け巡るのだ。ラジアルスキャン方式では真ん中から放射状に光が駆け抜ける。
だから古くなったテレビが、真ん中に緑色の光の点を残して消えたりする。
今日は宇宙の神秘についての番組だった。幻想的なアニメーションで始まる。光の点が分裂したり、クロスしたりする。少し不吉な雰囲気がした。
そして急に画面の真ん中に穴が空いた。
「これはブラックホールです。」
ラジオのチャンネルが合っていないときのような単調な波形で歪んだ音が流れる。
あまりにもその穴がリアルなので見入ると、本当にテレビのガラスの向こうに穴が空いているのを感じた。
僕は吸い込まれそうで目を閉じた。そして目を開けると、一瞬人の口が開いているのが見えた。そしてそれは消え、また次の瞬間浮かび上がった。
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