ゲームセンター

僕はブロック崩しのゲームがとても得意である。



ゲームセンターの地下の階段を降りる。

なんとなく気になっていたのだ。

階段下の通路はダクトに半分隠され、壁には電飾と、美女のピンナップが飾られていた。


ダクトは僕の身長よりやや下に存在した。

僕は首を下げて通り抜ける。


その瞬間雫が髪の毛の隙間に落ち込んできた。



とても僕の似合うような店ではなかった。

待ち合わせの時間があと2時間残っている。あくまでもそれのための時間つぶしのつもりだった。


店員は金髪をツンツンに立てたウルフカットの青年で笑顔で「いらっしゃいませ」という。右の親指に太い金色の指輪がはまっていた。それは骸骨の形をしていた。薬指には銀色の、これも太めだが、先のよりやや細い般若の形の指輪をはめていた。

笑った歯の隙間からピンク色の裂け目が見えた。


店の奥は暗幕で覆い隠されていた。僕がそちらをじっと眺めていると、店員は

「何かお探しですか?」

そう言い、暗幕の真ん中を引き上げた。

絞られるような恰好で、真ん中が上に上がっていき、三角形の入り口が現れた。

その奥にはダイヤモンドのようにきらめく光の群れがあった。


「ゴージャスでしょう。」

上目遣いに不敵な笑みを浮かべながら、店員は公の愛想笑いから、やや僕の領域に食い込んでいった。


恐らく彼は両刀使いだろう。

不意にそんな予感がした。彼は今僕を範疇に入れている。でも、距離は取っているし僕はそういったことに興味はない。


これから会う桃子にしても、ただビー玉を転がしあうだけの関係だ。

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