別世界 秋のガラスの街、空白

廃他万都

寄生

僕は寄生している。

自動販売機の前に立つとスピーカーから暗号が流される。


雪が降っていた。

高層ビルの中央にあるガラス張りの巨大な四角い穴を覗き込んだ。最下層の青白い蛍光灯の明るさが、そのひときわ暗い別次元へとつづくかのような底を照らし出す。青白い蛍光色を放つ薄く降り積もった粉雪はその空間がビルの外である事を示していた。


僕は外を見ていた。

心は別の世界を浮遊していた。

自分の今いる場所に心がある事など一瞬もなく、いつも他の様々な世界に思いを巡らせていた。


ざわめく音は波のように波及する。


僕は夢を見ていた。

世の中に完成された生と死のロジックが存在するという夢。


数々の空想はある時突然舞い降りてきて実現する。


僕はある機械を発明した。


その機械で町を守るために。


その機械と僕の頭脳が町を破壊してしまうということを、その時は全く考えていなかった。




デスクのビニール製のシートの下にはシチリア半島の、とある街の風景の写真があった。それはいつの間にかしみだらけになっていた。剥げた表面はシートに貼りついている。まるで牛のまだら模様みたいに。残った部分も日に焼けてかすんで見えなくなってしまった。

ほんの数日前に入れたばかりのような気がするのだが、こんなにも早く劣化するのだろうか。

写真の中だけ、時間の流れが早くなっているようだ。

写真の中の世界だけ、大分深い地層にあるかのように僕の時間とは切り離され、手の届かないところにある。

そしてそれは写真の性質そのものでもある。



I1(x)=I0•sin(2π•k1•x)

I2(x)=I0•sin(2π•k2•x)

モアレをもたらす二つの平行線。この現象を利用しインフラの劣化を整備する


R=z’-z”=A tan z’+B tan3 z’

大気差





僕は寄生している。

いつからかこの場所に

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