転々々々々々々入生
おにぎりお
第1話A中学校①
今回の話は僕が誕生して二十年の節目を祝うため、自分から自分へのプレゼントとして書き下ろした話を、あまりに面白かったから大衆向けに手直しした話である。勘違いしてほしくないが、僕には決して友達がいないわけではないよ。単なる趣味。ほんの出来心で書いていた話なんだ。内容は全て僕の思い出話。中学生の頃の楽しい楽しい学校生活の話。五年以上前のことで記憶が曖昧な箇所もあるから、今から始める話が百パーセント確かとは言えない。書いた本人でさえもよくわかっていないのだから、どこまでが本当でどこまでが嘘なのかは、読者であるあなた達に丸投げする。所々表現の一環とし誇張されている所もあるが、そこはそこで楽しんでもらえると幸いだ。あと、始めに言っておくが、これからの話に出てくる人名や学校名等の名称は、身バレを防ぎたいから全て架空のものに書き換えているので悪しからず。最後に、僕はこの作品でアニメ化を狙っている。それくらい自信のある大作なので、是非最後まで読んでいただけると有り難い。それでは始める。
ある地方の、ある地域の、ある日の、昼下がりの一学校の一教室。僕は自席で黄昏ていた。厳密に言うと、真面目にエッチい妄想をしていた。現在授業はお休み、休み時間。休み時間のクセに、自席で物思いに耽っている雰囲気を醸し出しているのはこのクラスで僕独りだけだ。周りの奴等は、それなりに集団を形成したりしている。言うまでもないが敢えて言わせてもらう。僕はこのクラスでは浮いた存在だ。僕は精神年齢が他の同年代人に比べて高いから、精神間でのジェネレーションギャップによって、浮いた存在と化すのは必然といっちゃあ必然なのだが、多分理由はそうではないと思う。多分僕が転入初日の挨拶で滑ったからだと思う。僕としては爆笑が起きる予定で自己紹介をしたんだけど、周囲の奴等は戦慄していた。所々に織り混ぜた下ネタのチョイスがまずかったのだろう。中学生レベルに合わせた下ネタをチョイスしておけば、こうはならなかったのかもしれない。普通、転入したての転入生には、誰か話しかけて来るだろうに、僕には誰も話しかけてこなかった。その日から丁度一週間。それが現在である。現在の現状がこれである。いくらなんでも誰も話しかけてこないなんて酷すぎじゃね。勿論僕だって努力した。例えば前の席のよく分からないデブ男に「よろしく」と、爽やかに挨拶してみたり、横の席のブス女に「よろしく」と、格好よく挨拶してみたり、積極的に挨拶をしたんだが、揃いも揃って無視。大変だ。中学二年生といえば最大のイベント『修学旅行』があるのに、このままだと凄い気まずい地獄の旅行となってしまう。テーマパークのトイレに集合時間まで籠るのは、鋼鉄の精神を持っている僕でも流石に厳しい。僕の株を急上昇させるための術を今の僕は持ち合わせていない。この問題は時間が解決してくれそうだけど、いつまでかかるか分からないから待ってられない。本当に困ったものである。もういっそのこと転校するか!
てな感じて僕はこの日、早くも他の中学校に転入することを決心した。
他の中学校へ転入すると決めたら、途端楽になった。いつものことだ。もうこいつらから、自分はどう思われているかなんてどうでも良いや、出来る限りこいつらには今後落ちぶれていってほしい。特に僕の横の席のブス女!お前、僕が休み時間寝たふりしていた時、悪口言っていただろ。しっかり聞こえていたぞ。なにが「あの転入生、なんか苦手~」だ。自己紹介だけで決め付けやがって。お前みたいなブス女は、顔面が方位磁石と同じ性質を帯びろ!常に北を向いておけ!
(話についていけない人が大半だろうから、ここいらでみんなには説明しておこう。この頃の僕は自慢じゃないが、凄い頻度で転校をしていた。その回数、中学一年の頃だけで五回。今思い返せば、とんでもないクレイジーっぷりだが、両親は何も言ってこなかったので当時の僕が気付かないのも無理はない。当時の僕にとって、転校という手段はそんなに重いものでもなく、席替えと同じ感覚で行っていたのだ)
毎度のことではあるが、転入手続きは面倒臭い。少なくとも二週間程の時間を有する。家に帰るや否や、僕は早速転入手続きを始めた。(実際転校するには「転入学通知書」「在学証明書」「教科書給与証明書(転学児童(生徒)教科用図書給与証明書)」等が必要だし、時分それをもらうのもとても面倒臭かったんだが、そんなことイチイチ描写するのも面倒臭いので省略している。ちなみにこれらの書類は今後、一まとめに『転校届け』と呼ぶことにするので悪しからず)それにしてもあと二週間は一日の三分の一以上をこの学校で過ごさなくてはならないだなんて、結構な苦役だ。これまでも、何度か転校を繰り返してきた僕だけど、この期間が一番憂鬱。転校しかけとか最も中途半端な時期だよな。周りには当然当日まで知らされないから、僕への対応は変わらないだろう。つまり僕は、ここがとても嫌な場所だと認識しながら、二週間もそこへ通わないといけないのだ。そう思うと苦役以外のなにものでもない。いや、待てよ。その瞬間、何度も転校している僕に初めて天使とも悪魔ともとれる考えが降りてきた。その考えとは…
『どうせ転校するんだから、転校するまでの二週間の間に、この学校でやりたいことをやってしまえ』
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