①始まった日々
朝、目が覚めると俺の目の前には俺の幼馴染み……霜月琴魅がいた。
中学二年の夏休み……二年前の今日、俺のせいで死んだ……殺された。琴魅は殺された、通り間に刺された……。はじめてあった時俺に向けた笑顔、満面の笑みなのにどこか冷めたような目をしているあの顔でこっちをじっと見ている。
あの日、俺があいつと喧嘩をしていなかったら、家から追い出していなかったら、一人で買い物に行かせていなかったら、泣かせていなかったら……今も楽しく幸せに過ごしているはずだった。全部俺のせいだ。俺が……俺がっ……!
「おはようそして久しぶり、透麻。」
幻覚でもドッキリでもなく、本当にこれは琴魅なのか……? だとしたらどうしてここにいるんだ? なんで生きているんだ? 本当は死んでいないとか?なんかの嫌がらせか……?
「ねぇ、聞こえてるんでしょ? 無視しないで?」
と、言うとともに俺にグッと顔を近づけてきた。こうやって近くで琴魅の顔を見ると、やっぱり母さんに似てるんだよな……あいつの写真を見るたびに思っていた……目元や雰囲気がどことなく俺の母親に似ている。ただの偶然だとは思っているが、少し不思議な気持ちだ……。
つまり、こいつは霜月琴魅。本物ってことか……そうとなれば少し前にも言ったが、なんで死んだやつがここにいるかが大きな問題だと思う。俺は確かにあいつが刺されるとこを見た。燃やされてるとこも見た。埋められるとこも……確かにこの目で見た。どうして……どうしてだ? 俺がこんなに考えたところで結論が出るわけがない。直接本人に聞くしかない……。
「なんでここにいるんだ? 本当に琴魅なのか……? 俺はお前が殺されたのを確かにこの目で見た。」
「そうだよ……私は死んだよ……。でもね?透麻が大事な何かを忘れているから、それを思い出せるように手伝いにきたの。きたっていうか連れてこられたって言うのかな?」
「なんだよそれ……めちゃくちゃだろ。意味がわかんねぇよ。大事なことってなんだよ。誰に言われたんだよ。」
「意味わかんないって言われてもね……大事なことが何かは言えないよ。透麻が自分で考えなきゃ意味がないもん。なんかね、よくわからない偉い人に言われたの……透麻を助けろって。全部思い出したらちゃんと教えるよ。透麻が、思い出せればだけど……。」
「俺そんな暇ねぇよ。そんな怪しすぎることしたくないしさ……」
「時間ならあるでしょ?何回かしか遊ぶ予定いれてないでしょ?暇じゃないとは言わせないよ。」
なんで知ってるんだよ……上から見てたとか? 俺の行動は全て一秒も逃さず監視されていたっていうことか……ここで従わなかったら何されるかがわからない。ここは大人しくしておくべきか……
「わかった、わかったよ……。一緒に考えればいいんだろ。考えてやるよ……」
まさかあんな単純な事だったなんて今の俺はまだ知りもしなかった……
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