第二輪ー①


「また来てるね、あの人」


そう小さい栗色の男が隣に居た男に言った。


「気持ちの整理がつかないんだろうよ」


隣の男が面白くもないように言うと、


「急だったんだっけ?……確か病で……」

「あんまり深入りするな。個人のもんだろ」


そう窘めた。

はーい、と小さく拗ねるように呟く声が聞こえたと同時に、耳元に命令が下った。


『西区リリアス方面にお迎え依頼!至急向かう様に』


そこに居た二人は俊足でその場から居なくなった。


「今日はなんだか物足りなかったね」

「人数も少なかったな」

「襲撃にも飽きたんじゃない?」


そんな風に栗色の髪の毛の男と隣の男は言い合った。


「とりあえず、無事種植えまいそう出来るようにしないとな」

「耕さなきゃ」


そう言って二人は足早に花園の方に走っていった。


花園では種を回収してからやることがある。

まず種を植える準備である。

植える場所はランダムで決められる。事前に予約することなどは出来ない。

管理人たちが上から決められた場所の土を柔らかく耕す。

空気を含みふかふかのお布団になるように、耕される。

その間種は管理室で管理される。

種を発芽しやすいように適温にて温められる。

その間に遺族が花園に集まり、説明を受ける。

花の管理は花園の管理人たちが担うので、水やりや雑草抜きなどは不要だが、お参りには来て欲しい旨を伝える。

足繫く通ってもらえれば、花も喜ぶと考えられているからだ。

司祭からのお言葉があり、やっと種植えまいそうとなる。

管理室から厳重に持ってこられた種を遺族の代表が受け取り、穴をあけてもらっている場所に入れ、司祭が土を被せ、水を与えて終了する。

その間も数人の管理人は、種を奪おうとする者からの襲撃に備えて守っている。

管理人たちの仕事は多岐にわたる。


「明日の11時に種植えまいそうを行う」

『ハッ!』


部下たちは上司の言葉に了解の意味を発した。


「今回種まきの時に襲撃される危険性が高まっている。くれぐれも気を抜くな!以上」

『ハッ!』


そう上司が言って、その場は解散となった。


「やっぱ襲撃来るかな?」

「備えているにこしたことはないけどな」

「いつでも危険じゃねえの?常にピリピリしてても……」

「そう言ってお前はいつも怠けてるじゃん!」


ハハハと笑いが起こる。

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