エピローグ「これが俺の踊ってみた動画を投稿するに至る長い経緯」
エピローグ
怒涛の恭子の誕生日から数日後、その週の日曜。改めて皆を交えたパーティーが我が家で行われた。
「さあ、恭子ちゃん、メッチャ焼いたるでぇー」
メインに夏海のたこ焼き。本人がタコパタコパとうるさかったので聞いてみれば何てことはない、たこ焼きパーティーの略だった。
そして、姫ちゃんの持ってきた超豪華オードブル。本人は適当に料理長に頼んだだけと言っていたが、侮れない人だ。確か普段はコンビニ弁当のはずなのに。
そもそも料理長って何だよ?
侮れないといえばもう一つ。
「恭子ちゃん、姫ネェの教師姿ってどんな感じ?どんな感じ?」
確かに感性は近いものを感じていたが、まさか直樹と姫ちゃんが遠い親戚だったとは。
「その、先生は一体何をしている?」
正直聞きたくないがな。
「そりゃ、ずっとナベさんの踊りを繰り返し見ているんですよ。いやぁ、ほんとあんだけやってくれると、間奏のアレなアレンジも許すしかないでしょ。すごいっすわ」
隣の俺の部屋から大爆笑の声と床をバンバン叩く音が聞こえる。
「あははははっ、流石よ!流石よ!渡辺さん!、ヒィー!ヒィー!……もう無理よ、ムリムリ!……抱いて!いっその事私を抱いてぇ!」
無理なら見るな、姫ちゃんよ。誰が抱くか。
「それよりも、凄いって言えばあれだよねぇ」
ニヤけ顔で俺と恭子を見るとっちゃん。恭子もコクコクコクコクコクと小刻みに頷く。まるで壊れた人形だ。
あの時、とっちゃんも居た事が俺の想定外。
「誕生日当日23時59分のハッピーバースデー!もう汗でビショビショ、手に持ってるケーキはグチャグチャ!オジサマはまさにGHSだね」
ガールズ・ハート・スナイパーの略らしい。とっちゃんは勝手に言葉を作るので困る。
確かに、俺も間に合うと思わなかったが、飛行場からタクシーに乗り猛ダッシュの末、玄関の扉を開け放なってバースデーコールを叫んだのが誕生日締め切り1分前だった。
何事かと、周りの住人が起き出してしまったことは過去の話として封印しよう。
これからもこんな日常が続いていく事だろう。
まぁ、あれだ。長くなってしまったが、これが俺の踊ってみた動画を投稿するに至る長い経緯。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます