海中に解ける雪
エノシガイオスから、ハッチを開けて海中へと飛び出していった蒼雪は、そこから離れたところで再び浮上したレヴィアタンの前まで行くと、手にしていた水中灯を、高々と掲げた。
水中灯が、暗い海の底で、眩い光を放つ。
獲物と定めたレヴィアタンが、そこへと向けて突っこんでいく。
蒼雪が手にした水中灯が、ちかちかと明滅する。
それを終えたかと思うと、蒼雪は、向かい来るレヴィアタンに向けて、自らも突進を始めた。
レヴィアタンが、今度ばかりは逃すまいと、その大口を開ける。
そこへと向けて突進する蒼雪。
開かれた大口が、がぶりと蒼雪を飲みこむ。
「蒼雪!」
ジークがその名を叫ぶ。
と――。
レヴィアタンは、その身体から火花を飛び散らせたかと思うと、内側から爆発を起こし、海水を蒸発させて水泡を上げながら、ばらばらに砕け散った。
「蒼雪……」
ジークが、苦渋に顔を歪めながら、両膝をがくりと折ってその場にくずおれる。
蒼雪が最後に送っていたのは、モールス信号によるシグナル。
その意味は、『雪が解けて、春はもうすぐそこに』――。
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