捕鯨

 エノシガイオスは、最大ノットで高速航行して、猛追してくるレヴィアタンからある程度遠ざかった後、Uターンして、向かってくるレヴィアタンに正対した。

 その甲板には、電磁ソードをかまえたジョシュアが乗っている。


 水平線の彼方には、陽が半分程顔を出し、海原を白く眩しい朝日で煌めかせている。


「行くよ、準備はいい、ハルキ?」

 ノアが尋ねる。


「ああ、やってくれ」

 ジョシュアに搭乗するハルキが答えた。


「捕鯨作戦開始だな!」

 エノシガイオスのコントロール・ルームから、ジークが意気盛んに。


「それじゃあ、始めるよ!」


 ノアは号令をかけるとともに、エノシガイオスを、再び最大ノットで高速航行させた。


 向かってくるレヴィアタンとの距離がぐんぐんと縮まる。


「来るぞ!」

 ジークが注意を喚起する。


 ジョシュアのコクピットに乗るハルキにも、こちらへ背びれを向けて、波飛沫を上げながら突進してくるレヴィアタンが見えている。


 両者の距離が、間近に迫る。


「いけぇええええええ!」

 ノアが叫ぶ。


 エノシガイオスとレヴィアタン--高速で海原を突き進んでいた両者が、激しく激突した。


 巨大な殺戮兵器であるレヴィアタンだが、重量に数倍の差があるエノシガイオスを前に、海原から弾かれて、鈍色の巨躯を宙に舞わせた。昇ったばかりの朝日に照らされながら、身体をしならせる。


「ハルキ、今!」「今だ、ハルキ!」


 ノアとジークが呼びかける。


「喰らえ、化け物!」

 ハルキは叫ぶと、ジョシュアのブースターを全開にして、宙を疾駆し、舞い上がったレヴィアタンの胴体に、電磁ソードを突き立てさせた。



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