【ゆりきす】

@lren_elsword

告白

「それで……。何のようなんだ?葛葉」

ここはイーリス学園の教室。授業が終わって放課後になり、様々な人たちが雑談をしている

そしてこの学園の教員であるローレン・サルヴァトレスは生徒である胡蝶葛葉に呼ばれ、この場に残っていた

一体何の話かはローレン本人にとって分からないが授業のことだろうと推測する

この二人はたまたま授業で出会い、最初は不慣れで距離を置きがちだったが、次第に暇があったらお茶会やご飯を共に過ごし

互いのことを理解し始めていた。

「今回の授業でわからないことでもあったか?」

推測したことをそのまま話すと、葛葉は少し口ごもる

「そ、それもそうなんですけど……えっと、その」

心なしか、今日の葛葉はどこか無駄に緊張しているようにローレンは見えた。

葛葉を落ち着かせるために、両手で肩を軽く押さえ、「落ち着け」と言った。彼女は頷き、深呼吸をする

そして、たどたどしく口を開く

「……あの、実は……。ボク、貴方の事が……す、好きですっ!!エンゲージしてくれませんか!」

「なっ……?!」

後半の声は特に大きくなり、周囲がフリーズする程度には影響を与えていた

「ダメ……ですかね?」

と、顔が真っ赤になり思考を完全に放棄していたローレンは葛葉の声で我に返った

「え、いや!……そうだな、うん。とりあえず、こっちに来い」

周りがフリーズしているのを気にし、邪魔をしないようにと葛葉の手を取り、足早にこの場を去った


人気のない休憩所にたどり着き、二人はいったん休憩する

今の時間帯では人が来ることが殆どないこの場所を選んだのだ

そしてローレンは改めて確認するように葛葉に問いかける

「……後悔するぞ?」

その問いの答えを葛葉は言った

「大丈夫です!どんな辛いことや、苦しいこと、悲しいことがあっても。ローレンさんと一緒なら乗り越えられる気がします

それに……ボクの事、一番見ていてくれたから……だから、後悔なんてしないです!」

それが葛葉の想いだった。二人で日々を過ごしてきて、ここまで想ってくれているのは葛葉にとって初めての存在だった

話を打ち明けるうちに、彼女の心に特別な感情が芽生え、今に至っている

「そんな事いって、後悔しても知らないからな……

だが……。私も、お前のことは大切だと思っている」

後ろを向き、そう言った。ローレンの耳は朱に染まっていた。

葛葉はローレンの言葉にぱっと笑みを浮かべ

「……!ありがとうございます!」

と、思わずローレンに抱きついた。

しばらくして、ハッと事態に気づき、慌てて離すも、今度はローレンが葛葉を抱きしめる

片手で葛葉のヘッドフォンをずらし、囁く

「きっと、お前に聞きたくないものを聞かせると思う。失望させることもあるだろう

……それでも、いいか?」

ローレンの言葉が葛葉の右耳に伝わる。

不思議と、本音を聴くことはなかった。

「ボクはもう、何を聴いても大丈夫です。だって、ボクには貴方がいるから……!」

耳がよく聞こえ、胸の鼓動が早まっているのが葛葉にはわかる。

それに言葉もたどたどしいが、意志はしっかり伝えたと彼女は思っていた。

「……そうか」

ローレンはそれだけ言い―

葛葉に、軽く口付けをした。それがローレンの答えだった

更に鼓動が、早くなったような気がした。

「……これから、よろしくお願いします!」

葛葉は人生最大になったであろう笑顔をローレンに向けてお辞儀をした

「……ああ」

ローレンもまた、微笑んだ。



おまけ

ローレン「そういえば、指輪はどうしたんだ?」

葛葉「あ、それなんですけど……。今から決めに行くんですがいいですか?」

ローレン「まったく、しょうがないな。今日は特に何もないから付き合うぞ」

葛葉「すみません……」

ローレン「それに、授業の方でもわからないことがあるんだろう?

そこも教えてやる。ほら、店が閉まる前にさっさといくぞ。」

葛葉「は、はい!わかりました!!」


多分このあと指輪かって舞踏会時に正式になるのかな(わからない)

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