千変バンカー!~魔物の金貨で変幻自在!?スペシャルなゴゥレムで目指せ一攫千金!~

Win-CL

コンテスト用【読み切り版】

起 《ゴゥレム使い》ルシード・カレンシー

 ――幸せは、金で買える。


『この世で一番大事なものは?』と問われれば、俺は誰が何と言おうと『金だ』と答えるだろう。『金よりも命の方が大切だ』と言う奴もいるだろうが、何の楽しみもない、ただ生きているだけの人生に何の意味がある?


 好きな服を着るにも、美味い飯を食うにも、安全で温かい場所で寝るのだって金が必要だ。世の中の全ては金で動いていると言っても過言ではない。


 金が無ければ生活することなんてできないし、そのために誰だって労働にいそしんでいるわけだ。


 もちろんこの俺、ルシード・カレンシーもその例に漏れることはない。だからこうして命をかけて魔物を狩り、日銭を稼いでいるのである。


 魔物狩りが他の労働と比べて気が楽なのは、別に“誰かに雇われているわけではない”という点に限る。


 それじゃあ仕事と呼べないのでは?

 どこから賃金が発生するのかって?


 強いていうなら――“魔物”自身から発生するのさ。


「今日は少し遠くの狩場に行ってみるか、相棒。今日こそ美味い肉を買って帰らないと、ルチルや孤児院のみんなに怒られちまうしな」


 そう呟いて、俺は自分の乗っかっている戦闘用人形ゴゥレムを一撫でし、“目の前に出ている投入口”へと金貨を投入した。






「はぁ……この程度のが1枚じゃあ、俺の昼飯程度にしかならないぜ……」


 そう言って、先ほど狩ったばかりのスライムの死体がのをぼんやりと眺めていた。


「ま、金は金だし。いくらあっても困りはしないけど」


 この世界では、魔物は死ぬと


 そのままで取引することもあるが、価値が変動しやすいので別の貨幣に引き換えるのが普通だ。大概の街では教会で引き換えを行えるし、自分の住んでいる所もそうだった。


「しかしまぁ、どこにでも湧いてんだな、スライムこいつらは……」


 戦闘力もそう無いし狩るのは楽なのだが、それ故に金貨も価値が低い。魔物の脅威度によって引き換えのレートも上がる。例えば、ドラゴンの金貨1枚あれば家が一軒建つだろう。それぐらいにピンキリなのだ。


 だからドラゴンとまではいかなくとも、普段見かけないような凶暴な魔物を倒そうと足を延ばしたんだがなぁ……。


 ……と、ぼやいていても始まらない。


 たとえスライムしかいなかったとしても、その金貨だけで孤児院にいる5人と自分の分の夕食代は稼がないといけない。20枚必要なら、20体狩るまで。


 俺は『よしっ!』と気合を入れて、ゴゥレムに魔力を流し込んだ。

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