第10話 明日の朝

明日を信じ切れなくなったのはいつからだろう

流れていく時間だけをただみつめて

確かなものだけしか手に取れないなんて

一番嫌っていたはずの臆病者だ

繰り返す日常に身体が麻痺していく

自分を浪費していることに気づかないまま

まるで同じ一日なんて二度と来ないのに

一定のリズムに無邪気に飼い慣らされていく

ここにいることとかここに在る意味とか

今ではそんなプライドさえ曖昧で

揺らがないことだけを求め始めている

揺さぶられることをどこかで待ち望みながら

いつかこの輪郭も消えてなくなるのに

いつかこの瞳も閉じてしまうのに

気づかないフリして自分押し殺して

そんな毎日にどんな意味があるのだろう

明日には何かがあるって信じていたい

明日には何かをおこせる自分でいたい

傷だらけになって痛くていいから

この五感のすべてを覚醒させていたい

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