ゴルゴちゃん13才

ひびき遊

ゴルゴちゃん13才、コメダ珈琲店に行く。1



 ゴルゴちゃんの秘密の仕事は、その性質上、真夜中になることが多い。


 そしてすべてを終えて帰路に就いた頃には、大抵すっかり朝を迎えているのだ。



「…………」



 肩に担いだ大きなガンケースの重みが、空腹に染みる。


 ゴルゴちゃんは13才だ。育ち盛りの胃袋は容赦がない。


 だがゴルゴちゃんは焦らない。


 落ち着いた足取りで、朝の街を行き交う人並みに紛れ、入るべき店を探した。


 時刻は7時を過ぎたところだ。


 忙しい社会人向けに、朝食を提供する小さな喫茶店が何軒かあった。


 が、ゴルゴちゃんにはこだわりがある。


 個人が経営する店には入らない。


 ──顔を覚えられるかもしれないからだ。


 だから足を向けた先は、チェーン店である。


 今日は『コメダ珈琲店』に決めた。


 たぶん、喫茶店から漂ってきたコーヒーの香りを嗅いだせいだろう。

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