第一章 Aya
語学の秀才で、各国語どころか、どんな地方の方言でも操れる。
又、狙撃の天才でもある。視力は5.0。動体視力も優れている。
どんな獲物でも神業ともいえる腕でヒットできる。しかし、人を殺めた事があるかどうかは本人のみぞ知る所である。
初めて銃を手に取ったのは、三歳の誕生日。雪の降る、凍える様な静寂なビルの谷間で、母から与えられた。
その手に余る大きな銃は、コルトパイソン。銃口に、龍のペインティングが施してあり、トリガーに、母の名が刻んである。
今はその刻印も読み取りにくくなってしまった。Ayaが、何時如何なる時もその銃を手放さなかったからか……。
銃の手ほどきを母から受けた訳ではない。唯、母と仕事を共にしていただけであった。
十歳の誕生日、その日は小春日和だった。清々しい気分で白い布で仕切られただけの母の寝室を開けると、母は消えていた。
自分にAyaという名と母の名の刻んだ銃に
Aya がその時感じたのは、母が出で行く気配に自分が気付かなかったという未熟さのみであった……。
今日、彼女は十になった。普通の少女ならば、未だ母に甘える時期であろう。
しかし、彼女は、母の面影を追うつもりはない。唯、心の何処かで、再び会う事があるのではないか……という期待、いや予感だけがあった。
今、あれから十年が経った。少女は成長し、Ayaと呼ばれるようになった。
そして、その誇り高さと銃の腕前から孤高の黒龍とも呼ばれ、恐れられている。
それがAyaだ……。それがAyaなのだ……。
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