誰も知らない私

@Sato8089

第1話

おはよう とかけて来る君


僕は笑顔で迎える

「おはよう」


僕の顔を見た君はふふ っと笑って僕の横に並んで歩き始めた。


“昨日のTVみた?動物の番組やっててさ、すっごく可愛い子犬が映ってたの!”


彼女は楽しそうに昨日のTVの話をしている。


僕の名前は樹高 東 。

東と書いて あずま と読む。

初対面の人からはごく稀に読み方を聞かれる


“あずま、あずまったら!も〜私の話ちゃんと聞いてた〜?”


横を歩く彼女がぷくっと頬を膨らませてこっちを見た


「ごめんごめん、ちゃんと聞いてたよ」


彼女とは半年前に友達の紹介で知り合った


河本 柊華 –こうもと しゅうか–

柊華は僕より六つ年上だ。

僕が今22歳、六つ上だとすれば柊華は28歳だ。


隣を歩く彼女を見るがとても28歳になるとは思えないくらい若々しい。

僕と同じ年だと言ってもばれないんじゃないかと思うくらいだ。


“あ、今日の約束覚えてる?”


「もちろん、覚えてるよ。今日の夜は夕飯を一緒に食べに行くんだろ?」


“よかった、覚えてて”


そう、今日は彼女と夕飯を一緒に食べると前々から予定していたのだ。


今日、僕は彼女に告白しようと考えていた。


そうこうしているうちに互いの職場へ行く分かれ道についた。


「じゃあ、今日も一日頑張って。

仕事が終わったら連絡するよ」


“おっけい!東も頑張ってね!”


手を振って別れる、暫く彼女の後ろ姿を見つめてから僕も自分の職場のある方へと歩き出した。

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