第24話 叩かれる

「気にしてないよ…」

 掲示板は今日も荒れている…。


 自分でも、(僕もヒマだな…)と思いながら見ている。

 何人がコレを見ているのだろう。


 それにしても…彼女になにか恨みでもあるんだろうか?

 何人がコレを書いているのだろうか…。

 酷いモノだ…。


 慣れているのかもしれない。

 僕のほうが泣いてしまった…。


 いや…真実もあるのだろう…それも悔しく、悲しい。

 でも、彼女の1面に過ぎないのではないだろうか…。


 僕だって…誰だって、多面性は持っている。

 彼らの大半は『K』の1面を切り取っているだけのように思う。

 自分と付き合ってくれないから…。

 SEXさせなかったから…。

 大方、そんな理由で口火の書き込みの尻馬に乗って遊んでいるだけだ。


 そんなことは解っている。


 でも…僕は、とても傷つくのだ…。

 彼女はしたたかだ。

 どちらかといえば…比べるべくもなく、僕の方が遥かに弱い。


 僕で良ければ、傍に居てあげたい。

 そう思う。

 他に居てくれる恋人がいなければ…。


 こんな想いすら煩わしいのかもしれない。

 そんな気もする。


 彼女と恋人の関係になりたい…そう思いながら…僕には彼女を抱きしめる勇気がない。

 正確には、そこまで自惚れられない。


 彼女は…僕のなんなのだろう…。

 僕は…彼女のなんなのだろう…。


 色々な思いが頭を…心を…ヘビが蜷局を撒く様にジリジリと蠢いている。

 それは、とても気持ち悪く…絞り出された淡い心は、涙になって頬をつたう…。


 僕は…彼女に逢いたい…。

 逢ったら…そっと抱きしめたい…。

 言葉にはできない…かもしれない…。


「大丈夫だよ…僕だけは、傍にいるよ…」


 言葉にできないから…僕は、ここに記す。


 言葉にしないと伝わらない…。

 でも言葉にしても伝わらないこともある。


 文字でも伝わらないこともある…誤解も産む…。

 そこに感情が載らないから…。


 だから…全てで伝えたい。

 不器用だから…それしか出来ない。

 抱きしめて…眠らせてあげたい…なにも気にせず…穏やかに…。


 今、彼女は眠っていると思う…。

 苦悶の表情で無ければいい…涙が零れてなければいい…。


 起きて…『死にたい』と願わないことを…僕が願うから…。


 僕は…毎朝、『死にたい』と願う。

 彼女には、こんな思いをしてほしくない。



 できるなら…僕が彼女をそうしてあげたい…。

 でも…僕は…そんなことをしてあげられない…。


 だから…鎮痛剤ペインキラーでいい…。

 医者にはなれない…。

 市販薬でいい…。


 逢いたいよ…今日はまだ…クリスマスだから…。

 明日の朝じゃ…クリスマスじゃないから…。

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