『簡単なアメリカ政党史』知っいるだけで大統領選が予測出来る?

北風 嵐

(1)民主党と共和党の成立

前置き

アメリカの歴史を若干勉強していたので、今回の大統領選の勝敗の分析をすることができた。オバマがアメリカは青い国(西海岸・東海岸州)赤い国(南部・中西部州)に分断された国家でないと云った。大統領選で青になったり赤になったりする州地帯がある。五大湖周辺州である。オハイオを制する者は大統領選を制すると云われているオハイオ州はこの地帯にある。今回のトランプの勝利はこの五大湖周辺州で勝利をおさめたことである。前回この地域でオバマであった州が6つもトランプに変わったのである。ヒラリーは得票数で勝っても勝てなかったのは、選挙人総取り制度という独特の選挙制度のせいである。五大湖周辺は自動車のデトロイト、鉄のピッツバーグで知られるように、かつてはアメリカ製造業の中心であった。この両市は今や人口は激減し、デトロイトは犯罪都市として知られる。

この地域の白人労働者の票が逆転現象をもたらせたのだ。差別発言、暴言はニューヨークやロスでこそ批判の対象に成り得ても、今回この地域の白人労働者は「雇用を守る」のトランプの言葉を優先した。トランプ陣営の選挙参謀の勝利と私は読んだのである。少しアメリカの政党史を知る必要があるのではないかと思う次第である。


(1)民主党と共和党の成立


独立し憲法制定時における連邦推進派(フェデラリスト)、これに対して州の主権を重視し、連邦政府の強大化に反対するジェファソンらの反連邦派が政党の始まりとされる。ジェファソンらを中心に結成されたのが民主共和党、これが民主党になっていく。その民主党に対抗したのがアメリカのホイッグ党。


新州が奴隷州になるか、自由州になるかを巡って北部州と南部州の対立が起きた。分裂したホイッグ党と民主党の一部を結集して奴隷制度反対で作られたのが共和党である。南北戦争後、民主党は弱体化し、一時期は南部の地域政党の様相を呈した。その後70年間は圧倒的に共和党優位で過ぎていく。(その間民主党は2名の大統領を出したのみ)。


1929年の世界恐慌により状況は激変し、1932年のルーズベルトの大統領就任によって、経済規制に政策を転換した民主党が優位となった。民主党はリベラル勢力によるニューディール連合を形成した。アイゼンハワーを除いて、トルーマン、ケネディ、ジョンソンと民主党の大統領が続いた。1960年代半ば以降は、公民権運動の高まりやベトナム戦争の泥沼化を受けて民主党内は混乱し、共和党優位の時代に移った。というのが流れである。



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