冬の夜空のこと

鼻腔に入る空気はとても冴えた匂いであり

昼間は陽の光と混ざり合い認識できない匂いである

鼻と喉の間で感受できれば

見上げた空の暗さと高さをより美しく思うことができるだろう


寒さに震えているのにその時間が続くことを願い

冷えた指先は手袋の中で拳にし

早く暖かい場所へ行きたかったはずの心はその場に留まる

そして街灯を照り返す雪のぼやけた光に目をやれば

ここが夢か現実かわからなくなってくるだろう


雪が静かに暗闇の中ふりつもる

乳白色の光が雪山の凹凸を浮かび上がらせる

凹凹とした道路に浮かび上がる闇

ゆっくりと姿を変える凹凸


雲ははるか遠く

星かと思えば雪である

風に揺られて枝葉から雪が落ち

下の雪山が数センチ高くなる

ゴロゴロ転がった雪玉は車道まで転がり

いつかひかれて凹凸を埋める


そして誰かのくしゃみで我に返り

冬の夜の寒さを思い出す

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